腕時計のベルトは、時間の経過とともに劣化したり、思わぬトラブルに見舞われることがあります。
そんな時に役立つのが、ベルト修理です。
この記事では、腕時計のベルト修理について、初心者の方にもわかりやすく解説します。
修理の種類や費用、修理店選びのポイントなどを詳しくご紹介します。
愛用の腕時計を長く大切に使いたい方は、ぜひ参考にしてください。
腕時計のベルト修理とは、時計本体と腕をつなぐベルトの部分を、新品に交換したり、破損した部分を修復したりする作業のことです。
ベルトは、時計の見た目を左右するだけでなく、装着感にも大きく影響するため、修理することで時計を長く快適に使い続けることができます。
ただ、腕時計のベルトの修理方法はベルトの素材によって少し異なります。
まずは革ベルトと金属ベルトそれぞれの修理方法について詳しく見ていきましょう。
革ベルトは新品のベルトに交換していただくのが一般的です。
革ベルトは素材の都合上どうしても経年劣化によるダメージが避けられず長年使っていればベルトが切れたり、表面が剥がれてしまったりなどで寿命を迎えます。
その場合、時計本体に問題がなければ、ベルトを交換するだけでその先も使用が可能です。
高級ブランドの腕時計であれば、日頃のケアを入念に行い、定期的なメンテナンスを実施していれば、時計本体をお子様やそのお孫様の代まで引き継ぐ事もできます。
ベルトを交換すれば、腕時計が新品に近い状態になり、新しく腕時計を購入した時と同じような興奮が味わえるのも嬉しいですし、色味を変えれば印象をガラリと変えられるのも魅力の1つです。
ただ、中にはベルト自体にも愛着があり、交換ではなく修理を望む方もいらっしゃるかと思います。
しかし、経年劣化を迎えたベルトを修理するのは専門家でも難しく、たとえ保管方法に細心の注意を払っていたとしてもいつかは限界を迎えます。
そのため、修理は諦めて同じ純正品のベルトに交換するのが一般的です。
ただベルトは時期によっては廃盤になってしまっている可能性もあります。
どうしても今のベルトに愛着があり、デザインを変えたくない場合は専門家に依頼してオーダーメイドの革ベルトを作って貰うという方法を取る事もあります。
ただ、ブランドやベルトの素材によっては料金がかなり高額になってしまう可能性があるのが難点です。
なので基本的には今のベルトと同じような色味・サイズのベルトを探して修理業者に交換して貰うのがおすすめです。
革ベルトの交換は必要な工具と新しいベルトさえ揃っていれば自分で行うのも難しくありません。
必要な工具は以下2つです。
ここでは革ベルトを自分で交換する手順について解説します。
時計を柔らかい布の上に置き、しっかりと固定します。
時計とベルトの接続部分にあるバネ棒を確認します。
バネ棒は、ベルトと時計ケースを繋いでいる小さな棒状の部品です。
バネ棒外しをバネ棒の溝に差し込みます。
バネ棒外しには、先端がY字型になっているものと、先端が棒状になっているものがあります。
バネ棒外しを押し込みながら、ベルトをゆっくりとずらしていきます。
バネ棒が外れると、カチッという音がすることがあります。
もう一方のバネ棒も同様に外し、ベルトを外します。
新しいベルトのバネ棒穴に、時計側のバネ棒を差し込みます。
バネ棒を固定するために、バネ棒外しを使ってバネ棒を押し込みます。
もう一方のバネ棒も同様に固定します。
必要であれば、新しいベルトの長さを調整します。
ベルトがしっかりと固定されているか、軽く引っ張って確認します。
固定されているのが確認できたら交換完了です。
自分で交換を行う際は自己責任となります。
万が一時計を壊してしまった場合、保証が適用されないなどリスクも伴いますので、自信がない場合は迷わず専門家への依頼を検討しましょう。
革ベルトの交換は決して難しくはありませんが、高級腕時計の場合は迷わず専門家に依頼してください。
交換作業中に本体を傷つけたり、必要な部品を無くしたりなどトラブルに見舞われた場合のリスクが大きすぎるからです。
特にロレックスやチューダーのような高級ブランドの時計は、本体に傷が付いたり必要な部品が無くなったりするだけで本来の価値が大きく下がってしまいます。
修理費用をケチったばかりに大切なアイテムの価値を下げてしまっては本末転倒ですので、経験豊富な専門家に依頼しましょう。
金属ベルトの場合は、基本的に修理が可能です。
金属ベルトの修理では具体的に以下のような作業が実施されます。
金属ベルトの長さは、コマと呼ばれる小さなパーツを組み合わせて調整します。
手首に合うように、コマを外したり追加したりすることで、ぴったりとしたフィット感を得ることができます。
この作業は、バネ棒外しと呼ばれる工具を用いて行います。
ベルトのバックルやプッシュボタンなどの金具が、強い衝撃によって変形してしまうことがあります
変形した金具は、形状を復元したり、新しい金具に交換したりする必要があります。
ベルトのコマが傷ついたり、変形したりした場合、新しいコマに交換します。
コマの交換は、ベルトの長さ調整と同様に、バネ棒外しを使用します。
金属ベルトのコマとコマを繋いでいるピンが、長年の使用や衝撃によって抜けてしまったり、折れてしまうことがあります。
この場合は、新しいピンに交換する必要があります。
ピン交換は、専門の工具が必要な場合があり、自分で行うのは難しい場合があります。
ベルトが短くてサイズが合わない場合、新しいコマを繋ぎ足してベルトを長くすることができます。
この作業は、コマの交換と同様の方法で行います。
ベルトが切れてしまった場合、溶接によって修復することができます。
溶接は、金具の溶接と同様に、高度な技術が必要なため、専門の業者に依頼する必要があります。
ベルトの中留めやプッシュボタンが割れてしまった場合、溶接によって修復することができます。
溶接は、高度な技術が必要なため、専門の業者に依頼する必要があります。
ベルトと時計ケースを繋いでいるバネが伸びたり、折れたりした場合、新しいバネに交換します。
バネ交換は、バネ棒外しを使用します。
特殊な形状のコマが破損し、交換用のコマがない場合、同じ形状のコマを新たに作成して交換します。
コマの作成は、高度な技術が必要なため、専門の業者に依頼する必要があります。
金属ベルトの交換は作業内容によっては自分でできる作業もあります。
作業内容 | 難易度 | 自分で行う |
---|---|---|
バンドの長さ調節 | ☆ | ○ |
コマの交換 | ☆ | ○ |
ベルトの交換 | ☆ | ○ |
ピン抜け・ピン折れ | ☆☆ | △ |
ベルトの継ぎ足し | ☆☆ | △ |
バネ交換 | ☆☆ | △ |
金具変形の修理 | ☆☆☆ | × |
金具の溶接修理 | ☆☆☆☆☆ | × |
ベルト溶接修理 | ☆☆☆☆☆ | × |
一部コマ作成交換 | ☆☆☆☆☆ | × |
以下3つの作業は専用の工具(バネ棒外し)をお持ちであれば自分で実施することも可能です。
ただ革ベルトと同様、自分で実施する場合は本体に傷を付けてしまった場合価値を大きく下げてしまう可能性もありますので、高級ブランドであれば自分での実施はおすすめしません。
作業自体は難しくありませんが、あくまでも自己責任で行ってください。
一方で以下の作業は専門の工具や高度な知識・技術を必要とする作業になります。
自分で実施するのは非常に困難な作業になりますので、迷わず専門家への依頼を検討してください。
腕時計のベルト修理が依頼できる場所は大きく分けて3つあります。
ご自身の腕時計を購入されたブランドの正規店に依頼する方法です。
保証期間内であれば保証適用となる場合もありますし、正規メーカーだと安心感があります。
量販店の場合、身近な場所で探せるのでメーカーと比べると依頼しやすいのが魅力です。
ショッピングモール内にある事も多いので、お出かけついでに修理を頼むこともできます。
修理専門店の場合、扱えるブランドの幅が広く、お店によってはメーカーと同等かそれ以上の技術力を持っている技術者に安価で修理依頼できるのが魅力です。
自社内に独自の工房を持っているお店や経験豊富な職人が在籍していれば、かなり難易度の高い修理でも対応して貰えることがあります。
ベルト修理にかかる費用はその時計のブランドや修理内容によって大きく異なります。
ダニエルウェリントンやベーリングのような中堅ブランドの時計であれば、ベルト交換の場合基本的に数千円程度で済むことが多いです。
お店によってはその店舗でベルトを購入した場合、工賃無料となることもあるのでお近くの量販店でベルト購入と併せてベルトの交換も依頼するのがおすすめです。
一方でロレックスやチューダーのような高級ブランドの場合、おおよそ以下のような金額になります。
正規メーカー | 量販店 | 修理専門店 | |
---|---|---|---|
料金 | 数万~数十万円 | 数万円~ | 数万円~ |
所要期間 | 1週間~10日程度 | 即日~1週間以内 | 即日~1週間以内 |
メーカーの保証が適用できない場合や少しでも安く済ませたい場合は量販店か修理専門店がおすすめです。
ただ、量販店の場合作りの複雑な機械式腕時計や精密な作業を要する修理の場合、対応が難しくて断られる事もあります。
そのため高級ブランド腕時計や機械式腕時計の場合は、修理を専門としている業者に依頼するのが1番おすすめです。
腕時計修理専門店であれば、ベルトの交換だけでなく時計の精度を保つために必要なオーバーホールも併せて依頼することができます。
オーバーホールは機械式腕時計であれば、4~5年に一度は必ず実施する必要があります。
業者によってはベルト修理とオーバーホール併せて依頼する事で料金も別途相談に乗ってくれる事もありますので、まずはお気軽に相談してみるのがおすすめです。
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