オメガ、レディマティックは1955年に発表されたオメガ社のレディースウォッチです。半世紀の雌伏を経て、復活させたモデルには同社レディスモデルにかける意気込みが感じます。今日はレディマティックをオメガの正規メンテナンス、修理専門業者へそれぞれメンテナンス依頼時の料金差額を詳しく紹介します。
オメガ デ・ヴィル レディマティックは1955年にオメガ初の女性用自動巻き腕時計です。当時の女性用モデルは手巻きが一般的でした。しかしオメガは敢えて小型のオリジナル自動巻きムーブメントを開発して登載します。
2010年に同モデルはデ・ヴィルのラインナップとして復活、当時の雰囲気を継承しつつも最新の技術とノウハウを詰め込んだモデルとして生まれ変わります。アンバサダーにはハリウッドスター、ニコール・キッドマンを登用し、強く美しい女性用時計として知名度アップに貢献しました。
現行モデルも1950年代当時の「高精度な女性用自動巻きモデル」という哲学は不変で、全モデル機械式時計でクロノメーター認定試験をパスしていることが特徴です。またオメガ独自のシリコンヒゲゼンマイを搭載して、耐磁性能にも優れています。
機械式時計ゆえ、メンテナンス作業は重要ですね。腕時計のメンテナンスサービスは通常メーカーが作業する「正規メンテナンス」と時計修理専門業者が行う「修理専門業者メンテナンス」の2つがあります。
オメガの正規メンテナンスは、同社では「コンプリート・メンテナンスサービス」と呼ばれるサービスです。料金は最大で108,900円から51,700円までの範囲で、料金設定されています。(料金表を参照)
キャリバー | ムーブメント | スティール | 貴金属 |
非クロノグラフ | クォーツ | 51,700円 | 63,800円 |
非クロノグラフ | メカニカル | 63,800円 | 74,800円 |
クロノグラフ | クォーツ | 57,200円 | 80,300円 |
クロノグラフ | メカニカル | 85,800円 | 108,900円 |
オメガの正規メンテナンス料金はケースの素材(スティールと貴金属)、ムーブメントの仕様(機械式、クォーツ、クロノグラフ)によって料金が異なります。ただ、レディマティックはクロノグラフモデルとクォーツモデルが無いので、63,800円から74,800円までの作業料金です。
コンプリートメンテナンスサービスの最大の特徴は部品交換代金が込みのため、追加料金が発生しません。作業後に大幅に作業料金がアップする心配はありませんが、果たしてお得なのでしょうか?
キャリバー | ムーブメント | スティール | 貴金属 |
非クロノグラフ | クォーツ | 27,500円 | 27,500円 |
非クロノグラフ | 機械式 | 38,000円 | 38,000円 |
クロノグラフ | クォーツ | 38,500円 | 38,500円 |
クロノグラフ | 機械式 | 44,000円 | 44,000円 |
まず正規メンテナンスの作業料金を検証するため、修理専門業者の料金とシステムを紹介します。
修理専門業者による、レディマティックのメンテナンス作業料金はムーブメントの仕様によって異なり、ケース素材で料金は変わりません。修理専門業者数社の平均作業料金はクォーツで27,500円、機械式で38,000円でした。
メンテナンス業者ではケース素材によって作業料金はアップしないシステムです。これが正規との大きな違いになります。貴金属モデル、正規メンテナンスでは費用が74,800円と、かなり高額です。
貴金属ケースモデルをメンテナンス専門業者で作業した場合、正規の半分の費用((正規)74,800円→(修理専門)38,000円=差額36,800円)で作業ができます。仮にステンレスモデルでも25,800円もの差額があります。尚、この作業に部品交換費用は含まれていません。
機械式時計の部品代は高価なため、オーバーホールでは部品代込みが安心だという意見もあります。確かに2000年以前の機械式時計だと故障頻度や部品破損も高い傾向にありました。
しかし、最新の機械式時計は耐久性もアップし、相当大きな衝撃等を加えるか、強い磁気を意図的に帯びさせない限り、まず故障しません。それを裏付けるようにスイス時計ブランド各社はここ数年メーカー保証を従来の2年から5年以上へ延長しています。
メーカー保証延長の背景は間違いなく故障激減です。特にシリコン素材を使用したヒゲゼンマイが主流になって以降、ムーブメントの耐久性と耐磁機能は各段にアップしています。
オメガ社も自社製品の保証期間を2018年7月1日以降に購入した商品は、全て国際保証を5年間に延長しています。他のスイスブランドも最大8年まで延長していて、紛れも無くこれは部品の耐久性がアップしている証です。
さて、部品交換がほとんど発生しないのなら、正規メンテナンスは明らかに割高です。しかし、金額が高いのには理由があります。それは正規メンテナンスでは様々な中間マージンが発生するからです。
なぜ中間マージンが発生するか、正規メンテナンスでは受託窓口の多くが百貨店や老舗時計専門店が担っています。ブティック化で直営化が進んでいる時計業界ですが、それでも販売チャネルの大半は一般小売店が担っています。
上の図はある修理専門業者のサイトから引用した図式です。図右側のフローを見れば一目瞭然。
当然小売店が窓口として受託してオメガへ製品を送る時に手数料が発生します。また、カスタマーサービスへ送られた時計の全てをオメガが自社で作業する訳ではありません。
実は受託状態によっては製品の一部をメンテナンス専門業者へ外注します。当然これにより外注費が発生、正規メンテナンスが割高になるのです。
さて、正規メンテナンスが修理専門業者へ外注することは、それだけ彼らの技術力が高い事の証でもあります。もう、高い費用を掛けて、正規メンテナンスに依頼する必要はありません。
そこで、まず修理専門業者の業態や良い業者選びのコツを「ネットにあまり載っていない㊙︎情報」をピックアップして、紹介します。
修理専門業者には①店舗型 ②店舗&ネット型 ③ネット型の3つに分かれます。最近は②と③の業態のメンテナンス専門業者が大半で、インターネットでの最大のメリット、「全国から依頼を受けられる」事で業態を拡大中です。
①店舗型は地域に古くから根ざした店舗、しかし、近年は集客に苦慮している事と、時計職人さんの高齢化によって閉店している店舗も少なくありません。
一方②と③のネットを利用している修理専門業者は、ネットによる集客で近隣以外からも集客可能、さらに営業時間外でも受託できる事が便利です。わざわざ業者まで製品を持ち込む手間も省け、複数の業者を比較することもネットで簡単に完結できます。
ここでしっかり料金比較をすることが重要です。修理専門業者も特に都市部で店舗を併設している業者は料金が若干割高な設定になっています。
これは都市部の高額な家賃と人件費が原因です。都市部に店舗を展開している修理専門業者は僕が知る限り、少し高額な料金設定になっています。料金以外ではやはり在籍している時計職人さんの資格有無が重要です。
ネット型業者における良い業者選びのコツはまずHPの内容、特に在籍している時計職人さんのプロフィールがしっかり記載されているかを見ると良いでしょう。その中でも保有している資格が明記されていると、安心です。
修理専門業者を比較検討する場合、料金、時計職人さんの資格以外では、修理実例を見て検討するのも良い手法です。中にはかなり詳細な事例を掲載している業者もあります。
例えば修理専門業者でレディマティックの修理実績が紹介されていると、レディマティックのメンテナンスを任せたくなるはずです。不具合の症状も詳しく解説して、自分の愛機も同じ症状を持っていれば、尚更そうでしょう。
そして、もうひとつ自分の時計の現在の症状に対して真摯な対応と明確なレンスポンスをくれる「相談できる時計職人さん」とめぐり逢えるかも重要な要素です。
もし、特定の職人さんに直接メールして相談できると安心できます。しかし、一般的な修理専門業者は時計職人さんを選択できません。
こちらの修理専門サイト、クラフトワーカーズ では、時計職人のプロフィールや実績をじっくり読んでから時計職人さんを決めることができます。
迷った時は複数の時計修理専門店の職人さんへ、まとめて一括見積もりが無料で行えます。
言うなれば、クラフトワーカーズは自然に時計職人さんが集まる「修理メンテナンス・業者コミュニティ」です。さまざま時計職人さんがそこで集い、技量を切磋琢磨しています。
電話番号や住所は記入せずに、時計を送らず簡単に見積もりがとれますので是非試してみてください。
オメガ レディマティックのオーバーホールは正規メンテナンスより、費用も安く時計職人さんの技量も高い、修理専門業者でメンテナンスしてもらうことがおすすめです。
またオーバーホール作業は定期的に作業依頼することが重要です。時期が来たら早目に依頼することが費用を安くできるポイントです。不具合が出てから依頼すると、部品交換が必要になり、かえって割高になることがあります。まずはお気軽に問い合わせてみてください。
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