タグ・ホイヤー モンツァは2022年のタグ・ホイヤーの現行ラインナップには無いヴィンテージ・クロノグラフです。2017年にヘリテージモデルとして復活するなど、根強い人気があります。しかしヴィンテージモデルのメンテナンスは部品在庫の面で不安があるのも事実です。今日はそんなモンツァのメンテナンス事情を調べます。
タグ・ホイヤー モンツァは1970年代から80年代にかけて製造されたクロノグラフモデルです。スポーティーな雰囲気を持つ、クッション型と呼ばれる独特な形状が特徴となっています。また様々なバリエーション・モデルがあり、三針モデルもあります。
もともとは伝説のF1レーサー、ニキ・ラウダがフェラーリ在籍中の1975年総合優勝を記念して製造されたというモデルです。そのためフェラーリの地元である「モンツァ」サーキットからモデル名を命名しています。
中古相場も平均すると30万円から50万円という価格帯のモデルが大半です。手軽に購入できるヴィンテージ機械式時計という事も人気を後押ししています。
平均販売価格は高くは無いですが、ETAベース以外のキャリバー、ゼニスのエル・プリメロ搭載モデルもあるため、このようなモデルは例外的にプレミア的な価格での取引が散見されます。
メンテナンスの事も考えるとETAベースのモデルは問題無いにしても先程のエル・プリメロムーブメントはメーカーが作業する正規メンテナンスだと、受託が難しい場合もあるかも知れません。
写真上:2022年タグ・ホイヤー現CEOフレデリック・アルノー氏
タグ・ホイヤーは2020年に創業家(LVMH)出身のフレデリック・アルノー氏がCEOへ就任、僕の知る限り最も若い時計ブランドのトップです。ここ最近LVMHグループは、傘下のブランド重役を軒並み創業家で固めています。
正規メンテナンスはそのLVMHジャパンにてメンテナンス修理、オーバーホール(以下OH)を実施します。
また日本独自のオーナークラブとしてエドワードクラブという制度があり、こちらは国内の正規店で購入したモデルであれば無料登録して、割引料金で正規メンテナンスサービスを受ける事ができます。
2021年11月時点のLVMHジャパンの正規メンテナンス料金表です。
LVMHジャパンOH料金 | エドワードクラブ | |
機械式クロノグラフ | 74250円〜94050円 | 49500円〜62700円 |
機械式三針 | 57750円〜72600円 | 38500円〜62700円 |
クォーツクロノグラフ | 57750円〜59400円 | 38500円〜39600円 |
クォーツ | 41250円 | 27500円 |
ここで問題なのは、モンツァが現行ラインナップにないコレクションで、ヴィンテージやアンティークが大半である事です。エドワードクラブはあくまでオーナークラブであり、売却した後の会員資格の譲渡条件は明示されていません。
つまり、クラブの割引料金が適用されるのは、ワンオーナーで愛用している場合に限られる可能性がきわめて高い事です。詳細はエドワードクラブへ問い合わせください。
正規以外の時計修理専門業者という選択肢も忘れてはいけません。時計修理専門業者はブランド問わず修理する事が特徴です。モンツァのような、現行ラインナップに無いヴィンテージの作業も得意としています。
時計修理の部品は製造期間が終了しても一定期間部品在庫をメーカーが確保しておくのが常です。メーカーによっては永久保証で在庫を保管するブランドもありますが、タグ・ホイヤーは永久保証ではありません。
一方の時計修理専門業者はメーカーで在庫保証期間が過ぎた部品も時計職人さんや業者独自に部品を確保します。また汎用部品(純正以外の共通部品)を積極的に使い、極力受託不可にならない工夫をしていることが特徴です。
時計修理専門業者の職人さんの中には、自ら部品を製作する時計職人さんもいます。そのため、ヴィンテージモデルでも余程の事が無い限り受託不可になりません。そして最大のメリットは正規と比較して、割安な作業料金でメンテナンスできる点です。
機械式時計を複数所持する人にとって、日頃のメンテナンス料金は安いにこした事はありません。果たして正規と比較してどれくらい安いのか、ネットで検索したA社の価格比較一覧を掲載します。
時計修理専門業者(ネット専業A社) | LVMHジャパンOH料金 | エドワードクラブ | |
機械式クロノグラフ | 45800円〜55000円 | 74250円〜94050円 | 49500円〜62700円 |
機械式三針 | 33800円〜44000円 | 57750円〜72600円 | 38500円〜62700円 |
クォーツクロノグラフ | 29800円〜41250円 | 57750円〜59400円 | 38500円〜39600円 |
クォーツ三針 | 19800円〜28000円 | 41250円 | 27500円 |
時計修理専門業者のオーバーホール(以下OH)基本料金は、ネットで数社のHPを検索するとクロノグラフで35000円から55000円程度が標準でした。部品交換が無ければ基本料金だけ、部品交換の場合は、部品代プラス交換費用、調整費用が掛かります。
OHだけの時の正規料金との比較では、60%から80%前後の金額でOHが可能です。ネットでいくつか検索してもほとんどの時計修理業者は正規より安く作業できます。ただ料金の幅は広く、最低でも2社から3社から相見積もりを取る方がより安心です。上記A社は少し価格が高めかもしれません。
時計修理専門業者はかつては店舗を構えて来店又は電話で受託する運営形態が一般的でした。最近はこれに加えてインターネットを利用した形態が増えており、インターネット専業店も増加中です。
具体的にはインターネットで申し込み、連絡の手段は基本メールというプラットフォームになります。そして製品引取と修理後のお届けは宅配便を利用します。インターネットでの受託ができる時計修理専門業者だと、自宅近くに業者が無い人でもOHが可能です。
またインターネットで手配が完結することは、わざわざ休日の時間をOH依頼に割く必要がありません。休日はもちろん、仕事中の隙間時間にスマホだけで、修理専門業者の手配や連絡が可能です。
このことで、休日の有効活用ができます。休みの日はリラックスしコーヒーを飲みながら、ノートパソコンからOH依頼をする事だって可能です。かつて携帯電話を仕事中に気にしながら、メーカーサービスセンターからの電話連絡を待つ必要もここではありません。
修理専門業者を選ぶコツは在籍している時計職人さんのスキルが重要です。HPから職人さんのプロフィールを見て、資格の有無をチェックします。
しかし、一般的な時計修理専門業者では、そこで「スキルが高そう」な時計職人さんを見つけても担当になるかは不明です。
ただ、唯一依頼者が時計職人さんを直接指名できる業者があります。それがクラフトワーカーズです。2022年4月時点で登録している有資格時計職人さんは6名にのぼります。
誰を指名したら良いかわからない時は、まとめて見積もり(一括見積もり)という機能もあり、これを使えば登録者全員に一斉見積、その中から見積もり内容を比較検討して、担当の時計職人さんを決断することが可能です。
この機能を使えば実質6社の時計修理専門業者を比較検討するのと同じ効果が期待できます。これだとかなり精度の良い比較検討ができます。またクラフトワーカーズの作業料金は前述したA社よりも少し安い気がします。
まず無料見積もりができるので、まとめて見積もりを行ってください。
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