日本ではまだマニアックなブランドという印象が強いボーム&メルシエですが、その歴史は古く1830年にスイスのジュラ地方にあるレ・ボアという小さな村でルイ・ヴィクトールとセレスタン・ボームの兄弟が工房を構えたのが始まりで、時計作りに妥協を一切許さない二人の事業は急成長をとげ、いち早く海外市場に眼をつけイギリスに進出、19世紀末には世界各地で知られる時計メゾンとして高い名声を築くことになりました。
そしてボーム&メルシエはクロノグラフとグランド・コンプリケーションモデルを発表し高い評価をることになり、世界各地の国際展示会で数々の賞を受賞し1892年にはクロノメーターに入賞、精度の高いムーブメントの評価が定着することになります。
そしてボーム&メルシエの名声を決定付けたのが女性向けの高級腕時計の創造で、1940年代後半に女性用コレクション、マルキーズを発表し自らのスタイルを不動のものとします。
1950~60年代にはギリシャ文字で均衡を表すファイのロゴを採用し、新しいデザインの創造へ乗り出します。現在のコレクションに通ずる伝統的なラウンドウォッチが誕生したのはこの時期になります。
その後もボーム&メルシエは斬新なモデルを発表し続け、時計業界をリードし数々の新型モデルが栄誉ある賞を獲得し流行の先端を走り続けます。そして1985年、ボーム&メルシエはリシュモングループの前身であるヴァンドームグループに参画し、世界市場への拡大を目指していきます。
こうしてボーム&メルシエは現在も斬新でいながら、卓越した技術を受け継いだ機械式腕時計を創造し続けています。
どんなに精密で優秀な機械でも、長く使っている間に定期的な点検や修理を怠ると思わぬ故障の原因になったり最悪の場合は動かなくなり壊れてしまうものです。
それが機械に与えられた宿命といえるもので、精密を極める腕時計にもそれは当てはまります。
たとえどんなに技術を極めた優秀な名腕時計でもそのまま手入れをしないで動作していると部品が傷んでしまい、故障の原因になり果てには動かなくなり折角生涯使い込めるだけの時計の寿命を縮めてしまうことになります。
腕時計にとってオーバーホールは長く使用する上で欠かすことのできない作業といえます。
事実、有名海外ブランドの腕時計を販売する正規販売代理店では、3~5年に一回の頻度でオーバーホールを実施するように薦めていますし、その際には正規サービスセンターを通して依頼するようにアナウンスしています。
では実際にボーム&メルシエの腕時計を正規サービスセンターにオーバーホールに出すとどのくらいの料金になるのでしょうか。
駆動方式 | オーバーホール料金 |
---|---|
クオーツ式 ノーマル | 26,400円~ |
クオーツ式 その他 | 30,000円~ |
手巻式・自動巻き | 40,000円~ |
自動巻きクロノグラフ | 53,000円~ |
これらの料金は全てオーバーホールのみの料金になっており、万が一部品交換や修理が必要になった場合には別途料金が上乗せになります。
オーバーホール受付はボーム&メルシエの場合、基本的に正規販売代理店が受付窓口になっています。
正規サービスセンターを利用するメリットとしてはボーム&メルシエ専門の熟練した技能士がオーバーホールを担当するため安心度が高いこと、修理や部品交換の際には100%純正部品が使用されること、そして作業完了後のアフターサービスが充実していることが挙げられます。逆にデメリットとしては修理期間にはある程度の長さがかかるため納期に余裕を見なくてはならないこと、また料金が多少高額な点が挙げられます。
ボーム&メルシエの腕時計に関してはよく言われる並行差別はありませんが、正規販売店が窓口なので並行輸入品や中古品の場合、販売店によっては依頼を断られる場合があります。この場合にはボーム&メルシエのカスタマーサービスが修理品ピックアップサービスというのを行っていて、有料ですが全国一律1,100円の受付料で郵送にて見積り受付をしてくれるシステムになっています。
修理品ピックアップサービスを利用しメンテンス料金の見積もりが届いたけれど、予算がオーバーしてしまったのでキャンセルしたいって場合もあるかと思います。この場合、見積手数料 (キャンセル料) ¥ 6,050掛かってしまいます。
予算の関係など理由があって少しでもオーバーホール料金を低価格で仕上げたい場合には、幸い日本には腕時計修理専門店が数多く存在しているので、そちらにオーバーホールを依頼する方法があります。
しかしあまりにも修理専門店の数が多くて料金がはっきりしないのも事実です。修理専門店によって差はありますが相場になる料金を調べてみました。
ボーム&メルシエ の時計を修理専門店に依頼した場合には、クオーツ式で18,000円~、手巻き・自動巻きで25,000円~、自動巻きクロノグラフで33,000円~とかなりお得な料金になっています。
メリットとしてはオーバーホールの納期が正規サービスセンターより平均して1週間ほど早いこと、また料金が格安な点、そして見積もり後のキャンセル料を取らないところが多い事です。
逆にデメリットになるのは修理や部品交換が生じた際、純正部品を使用してもらえる確率が非常に低くなること、修理後のアフターサービス等に不安が残ること、そして一番重要な点ですが作業の仕上がりに関しては担当する技能士しだいで大きな開きがあることです。
例え1級時計修理技能士資格取得者であってもそれがイコール技能士の真の実力とは決していえないのが現状です。
本当の技能士に求められることは資格そのものよりも、修理担当暦や今までどれだけの種類の腕時計と現場で向き合ってきたかという、実際の経験値のほうが重要な事柄になってきます。
では本当に優秀な腕時計修理技能士が在籍する修理専門店はどのようにして見つけたら良いのでしょうか。
一番賢明な方法は実際に修理専門店を複数廻って実際に見積りを取ってもらい、担当する技能士と直接面談することです。技能士の方と直接お話しすることで本当の技能士の実力を伺い知ることができますので、確実な方法といえるでしょう。
しかし個人が複数の腕時計修理専門店を廻って技能士と面談するのは現実的に言って難しいところがあります。インターネット等を使って情報を集めてみても不確かな情報が意外に多く、かえって戸惑ってしまいどこに依頼したらよいのか全く分からなくなってしまいます。
個人的におすすめしたいのが、クラフトワーカーズというサイトです。このサイトでは優秀な腕時計技能士を複数ピックアップして紹介しており、その技能士の修理担当暦や取得資格、さらには所属会社まで公開しているので依頼する側が本当に納得した技能士にオーバーホールや修理をお願いすることが可能で、安心して作業を任せることができます。
また時計を送らずに在籍している職人全員へ、一括見積もりが可能です。修理後の動作保証も1年間あるところもおすすめの理由です。
こちらの記事の1番下で詳しく紹介していますので是非参考にしてみてください。
ボーム&メルシエ のような精巧で高い技術を持って作られた腕時計を正規サービスセンター以外の腕時計修理専門店に依頼するには、本当に信頼できる技能士へお願いするのがおすすめといえますので、是非この機械に優秀な技能士との出会いを見つけてください。
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