日本が誇るウォッチブランド、セイコーは、1969年に世界で初めてのクォーツ腕時計「セイコークォーツ アストロン35SQ-」、1999年に独自の駆動機構「スプリングドライブ」を搭載したモデルなど画期的な時計を次々と発表し、世界を驚かせてきました。現在の時計界におけるクォーツ時計の隆盛には、間違いなくセイコーが寄与していると言って過言ではないでしょう。
1960年、スイス公認歩度検定局によるクロノメーター規格と同等の高精度を実現した初代モデルを発売し、スイス高級時計に並ぶような国産高級腕時計ブランドとしてグランドセイコーを確立。高精度の時間表示、視認性、耐久性などを高い次元で追求・実現し、長く愛用できる実用腕時計の最高峰を目指すものとして生まれました。
その後グランドセイコーは2017年にセイコーからブランドとして独立し、Grand Seikoロゴをダイヤルの12時位置に冠するデザインに一新するなど、ブランドの魅力を高めています。圧倒的な精度のムーブメントを搭載し、セイコーの最高技術を集結した高機能時計ながら、削ぎ落されたシンプルなデザインによってデイリーからフォーマルまで多彩なシーンに寄り添ってくれると人気です。
グランドセイコーは誕生以来から世界の時計愛好家から注目され続けてきました。耐久性と実用性が高いため、アンティークやヴィンテージの時計でもきちんとしたケアを続けていればほぼ新品同様に使うことができます。今回は、グランドセイコーのアンティーク・ヴィンテージウォッチをすでに持っている方、またはこれから入手したいと考えている方向けに、おすすめのオーバーホールの依頼方法や料金目安をご説明します。グランドセイコーのオーバーホールの注意点やポイントなどもご紹介しますのでぜひ参考にしてみてください。
アンティークやヴィンテージの時計は、現行品と比べるといくつか取り扱いの面で気をつけるべきポイントがあります。ハイスペックを謳っている時計でも、年代物であれば耐水性や耐磁性は次第に低減していきます。ただし、適切な使用方法と保管・管理の環境を整えることができればデイリーユースにも耐えられる実用性をある程度までキープすることはできます。
ここから耐水性と耐磁性の注意ポイントをご説明します。
アンティークやヴィンテージの時計は、防水性が高いものであってもガスケットの経年劣化、プッシュボタンやリュウズの緩みなどが発生してきます。こうした隙間から水分や湿気が時計の内部に入り込むと、針が動かなくなってしまったり、カレンダー機能など実用面に不具合が生じてしまったりということがあります。雨の日にヴィンテージの時計を身に着けて外出したり、たとえ屋内であっても梅雨の時期に時計をデスクに出しっぱなしにしたりしていると壊れてしまう恐れがあるので注意が必要です。こうしたことが起こらないように、雨や湿気が気になる日は、アンティークやヴィンテージの時計は専用の収納ケースにしまっておきましょう。適切な温度と湿度のもとで保管しておくことが大切です。
また、耐磁性についても気をつけましょう。スマートフォン、タブレット、パソコンや、スピーカー、電子レンジ、テレビなど強い磁気を発する家電・機器は、腕時計の内部ヒゲゼンマイの渦巻きを磁化させてしまうことがあります。特にアンティークやヴィンテージの腕時計は、耐磁性も現行品よりは落ちているはずですので、こうした家電・機器を使用する際には近づけないほうがいいでしょう。負担をかけないよう、基本的には使用時には腕時計を着用しないことを推奨します。
腕時計は毎日のように身に着けるなかで、重力・気温・湿度・衝撃などさまざまな外部環境からの影響を受け続けています。そのため、私たちの日々の使用方法や保管状態などが、長い目で見たときの時計の耐久性や実用性を決定づけていると言っても過言ではありません。
いくらハイスペックな時計でも、定期的に行うメンテナンスを怠ったりずさんに取り扱ったりしていれば摩耗は進みます。不具合が出てから慌てて修理を依頼しても、内部を分解してみたらもう取返しのつかないほど劣化してしまっていたということもあります。
アンティークやヴィンテージの時計の高い機能性や美しさを長く楽しむ秘訣は、適切な使用方法・正しい保管方法・定期的なオーバーホールの3点セットが基本であることを覚えておきましょう。ただし、腕時計を自分で分解して点検や修理を行おうとするのはNGです。腕時計は精密機械です。必ずプロフェッショナルの手を借りてオーバーホールを受けてくださいね。
機械式腕時計、クォーツ腕時計のどちらであっても、定期的なオーバーホールによるメンテナンスは欠かせません。主にオーバーホールで行われる作業として、時計の分解、内部の点検、掃除、調整があります。また、時計の内部に不具合や劣化が見つかった場合は、、そのパーツの交換や修理を行います。
「そろそろオーバーホールの時期だけど、普段は腕時計の使用も保管も丁寧に行っているから、まだ先に延ばしてもいいかな……」と油断してしまうと、あとで大変なことになる可能性が。なぜなら時計は着用していないときでも絶え間なく内部機構が動き続けているので、歯車やゼンマイが摩耗する、各部品の経年劣化が起こるものだからです。
適切なオーバーホールの頻度は、一般的には、クォーツ腕時計で5~6年に一度、機械式腕時計で3~5年に一度のペースで行うといいと考えられています。アンティークやヴィンテージの時計は現行品よりも頻繁に行うことが推奨されています。これら年式の古い時計は、一度不具合が発生するとリカバリーが大変になりますし、一部の劣化が他の部品にも大きな負担をかけてしまうこともあります。初期の不具合の段階でオーバーホールを行えば、故障を防ぎ、費用も低くおさえることができるでしょう。
グランドセイコーではオーバーホールを含むメンテナンスを「コンプリートサービス」として提供しています。内装の修理とライトポリッシュ(ケース・メタルバンドの表面を整えてつやを出すサービス)が施されます。ムーブメントを完全分解して洗浄・磨きを行うほか、防水検査なども盛り込まれた全11工程です。
申込方法は、公式サイトの「お申込みフォーム」に必要事項を記入して提出すると、概算見積もりが届きます。その後、発送キットが郵送されてくるので、梱包して発送。時計の修理にかかる時間は3~6週間が目安です。その後、修理が終わったら返送されてくるので、オンラインクレジットカード決済または代引きで料金を支払います。
グランドセイコーサービススタジオに在籍する修理技能士が責任をもってオーバーホールを担当してくれるので、安心ですね。
グランドセイコーでは修理の対応期間を特に限定していません。製品の生産が終了した後も、監督官庁の指導に基づきメーカーとしての部品保有期間10年を超えて、さらに長期間の修理ができる体制を整えています。
アンティークやヴィンテージの時計も長期にわたって純正サポートを受けられると言えるでしょう。ただし、生産終了から10年を超えている時計については、修理の際に必要な部品が欠けている可能性がないとは言えません。また、オーバーホール・修理にかかる金額は、純正サポートの場合はやはり高額になりがちです。
純正サポート以外に、グランドセイコーの年代物の時計を比較的安く、安心してオーバーホール受けるためにはどこに依頼すればいいのでしょうか?
そのひとつが時計修理専門店です。時計修理専門店は、地元に根付いた小さな個人店から、全国展開している大型チェーンまでさまざまあります。グランドセイコーのような有名ブランドの場合は、専門店のほうでも部品を確保していることが多いのです。
また、時計修理専門店の中には、自社で旋盤を所有しており、一から部品を製作できるお店があります。つまり、修理依頼した時計の状態や具合を見て、最もフィットする部品を作ってくれるのです。こうしたお店に依頼すれば、希望の通りにオーバーホール・修理をしてもらえますね。ただし、すべての時計修理専門店が自社で部品製造をできるわけではないので、お店を正しく選びましょう。
時計修理専門店でのオーバーホール・修理は、メーカーが提供している純正サービスよりも安価かつ短納期で対応してもらえるケースがよくあります。腕の確かな時計修理専門店を知っていれば、グランドセイコーだけではなくさまざまなブランドの腕時計をオーバーホールしてもらえるでしょう。
続いて、おすすめの時計修理専門店をご紹介します。
おすすめの時計修理専門店をこちらの記事で紹介しています。
この中でも特に、全国の腕利きの時計職人さんたちを紹介している総合サイトの「クラフトワーカーズ」がおすすめです。技術力・サービス・価格・納期どれにも自信があるという職人さんを紹介しているので、信頼できる依頼先を探すのも簡単です。
前述したように自社に旋盤を保有しているという時計職人さんも在籍。交換用の部品を自社製造できます。そんなクラフトワーカーズは、時計職人さんと一人一人直接交渉をしたうえで、掲載OKをもらった方だけを掲載している点も特徴です。
クラフトワーカーズの利用方法は、まず公式サイトで、時計のモデルの詳細、購入してからの年数、故障の内容、針の状態、オーバーホールを最近受けたのはいつかといった基本情報を入力するところから始まります。
この内容でオーバーホールや修理ができるという職人さんたちからオファーが届きます。金額や納期の見積、過去の利用者のレビューなどをまとめて比較しながら、ご自分の希望や予算に合った職人さんを選びましょう。
オファーに返事をするとその職人さんから腕時計を梱包・郵送するためのセットが一式(送料無料)自宅に郵送されてきますので、時計を梱包して郵送してください。
職人さんのもとに時計が届き、時計の汚れや摩耗、劣化、故障の内容や程度などを詳細に調べたあと、最終的な金額や見積りが決定します。
見積りなどの内容にいずれも問題がなければ、オーバーホールの正式依頼を出して、依頼は完了です。あとは修理が終わって連絡が来るのを待つだけ。
返送されてくる時計は代金引換で料金を支払います。なお、クラフトワーカーズでは、修理やオーバーホールを行ったあと、1年間の品質保証がついています。
これだけでグランドセイコーのアンティークやヴィンテージの腕時計の修理が低価格・短納期でできますよ!
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