世界的なウォッチブランド、オメガの代表的モデルといえば「スピードマスター」と「シーマスター」を思い浮かべる人は多いでしょう。いずれもオメガの双肩を担う高級時計ですが、そのうちシーマスターはすぐれた防水性能を誇るダイバーズウォッチです。シーマスターの防水機能は、モデルにもよりますが150~1200メートルほどあります。
シーマスター誕生の歴史は第二次世界大戦中にまでさかのぼります。オメガがイギリス国防省に腕時計を納めていた頃に製作されていたモデル「マリーン」が、戦後に市販品として改良されました。さらにこのマリーンが、1957年、防水性能を格段に高めたモデル「シーマスター」としてリリース。時代に合ったバージョンアップを重ねつつ、世界屈指のダイバーズウォッチとして現在までその名を轟かせています。
映画『007』の主人公、ジェームズ・ボンドがシーマスターを愛用していることをご存知の方も多いのではないでしょうか。水圧や衝撃に耐える気密性・堅牢性、退色や劣化を起こしにくいケース、摩耗や故障に強い内部機構のコーアクシャル、耐磁気性など8つの検査項目を高い基準でクリアしたマスタークロノメーター規格など、あらゆる面で高いスペックを誇っています。さらに、これだけの機能性を込めながら、ビジネススーツに美しく映えるオーセンティックなデザインである点が魅力的です。シーマスターがどの年代の層からも支持されているのはこうした理由があるのでしょう。
オメガのシーマスターはアンティークも人気です。高性能にこだわりすぐれた生産ラインを保持し続けてきたブランドのため、年式の古いモデルであっても日々の使用状況やメンテナンスを丁寧に行っていれば日常使いにも問題がないクオリティです。
アンティークのシーマスターを長く愛用するために欠かせないのがオーバーホール。この記事では、シーマスターのアンティーク時計を持っている方や、これから入手したいと思っている方のために、オーバーホールのポイントや注意点、おすすめのお店をご紹介します。
アンティークやヴィンテージの時計を長く使い続けたいと思うなら、正しい使用環境・使用方法や保管・管理の仕方を覚えておく必要があります。年式の古い時計は、どれだけハイスペックな高級時計であっても、やはり現行品に比べると取り扱いに気をつけなくてはなりません。
例えば耐水性・耐湿性ですが、リューズ・プッシュボタンの緩みやガスケットの経年劣化によって時計の内部に水分や湿気が入り込みやすくなります。こうした隙間の部分はどの時計にもあり、高い防水性能をうたっているモデルでも油断はできません。雨の日にお気に入りのアンティークやヴィンテージの時計をつけて出かけたら故障してしまった、梅雨の時期に時計をデスクの上に出しっぱなしにしていたら動かなくなってしまった、ということもよく起こる事例です。
湿度が高い日には、時計は専用のケースにしまって、時計にとって適切な温度・湿度のもとで保管しておくことをおすすめします。
また、電子レンジの近くでは腕時計を着けていないほうが良いという話を聞いたことがあのではないでしょうか。電子レンジやパソコン、スマートフォン、タブレット端末、音響スピーカーなどはいずれも磁気を発する機器・家電で、腕時計にとっては負担がかかります。磁気によってヒゲゼンマイの渦巻きが磁化されて、時計の表示する時間が不正確になるということも。「長時間デスクワークをする」「電子レンジなどの調理家電を使って料理する」といった場面では、腕時計は外しておくと安心です。
時計は毎日の使われ方や保管状況が耐久性や使用感に影響します。こうした条件・環境が時間とともに積み重なっていくので、使用・管理のされ方が適切であれば、オーバーホールを定期的に行うことで、アンティークやヴィンテージの時計も機能性や美しさを高いレベルで維持して使い続けることができます。
しかし、もしケアを怠ったりずさんな扱い方をすれば、ハイスペックな高級時計でも不具合が出てきてしまいます。壊れてから慌てて修理に出して、結局直せなくて二度と使えなくなってしまったなんてことになったら残念ですよね。
時計のオーバーホールや点検は、自分で分解して行おうとしてはいけません。非常に繊細な精密機器ですので、時計専門のプロフェッショナルに頼みましょう。
機械式時計であれクォーツ時計であれ、腕時計を長く愛用したいのなら定期的なオーバーホールでのメンテナンスは欠かせません。特に衝撃を与えたことはないと思っていても、ゼンマイや歯車の摩耗や経年劣化は起こります。
オーバーホールの主な作業には、時計の分解、内部の点検、掃除、調整などがあります。時計の内部を確認したときに部品の摩耗や劣化が見つかれば交換・修理といった作業を行ってもらえます。それでは、オーバーホールはどれくらいの頻度で行うのが適切なのでしょうか?
一般的にはクォーツ式時計は5~6年に一度、機械式腕時計は3~5年に一度のペースで行うと良いと考えられています。ただしこれは目安の頻度であって、普段の装着の仕方や環境、また年式の古い腕時計の場合はより高い頻度で行うべきです。「時計の調子がよくない」と感じたら、まずは気軽に点検してもらうことをおすすめします。
なお、オメガでは1年に一度の防水性の検査と、5~8年に一度のコンプリートメンテナンスを推奨しています。
オメガの時計は、ムーブメントにオメガ独自のコーアクシャルを採用しています。これは摩耗が少なく壊れにくい特徴があるのですが、特殊な複雑機構なので、オーバーホールを行う際には腕の確かな時計専門の業者に依頼する必要があります。
オメガはスイスにある世界最大の時計製造グループ、スウォッチグループの傘下にあります。現行品の時計ならば、オメガブティックまたは正規カスタマーサービスで時計を引き取ってもらい、スウォッチグループのオーバーホール・修理のサービスを受けることができます。また、有償のサービスには24カ月間の保証がついており、万が一不具合が出た場合は、保証対象内の内容であれば再度部品の交換・調整などのサービスは無償で受けられます。
ただし、1点注意が必要なのは、アンティークのシーマスターでは部品の製造が終了している可能性があるということです。部品が手に入らなければ適切な部品交換修理が受けられません。
オメガでは部品保有期間は原則として製造がストップしてから約10年です。10年前よりも古いアンティークまたはヴィンテージのシーマスターを持っている方は、オメガの公式カスタマーサービスではオーバーホールできない恐れがあります。
部品の製造が終了し、オメガでの保有期間が過ぎてしまったときはどうすればいいのでしょうか?
例えば老舗の時計店などでは、有名ウォッチブランドの保有期間が切れてしまった部品を在庫としてある程度確保していることがあります。在庫を持っているお店を見つけることができれば部品交換なども対応してもらえますね。
また、時計修理専門店の中には、自社で部品製造をすることができるというお店もあります。その時計にもっともフィットした部品を、旋盤を使っていちから作れるという実力派のお店は「時計のかかりつけ医」のような存在。オメガのシーマスターに限らず、他のブランドの時計も安心して相談できますよね。
ただし気をつけなくてはいけないのは、すべての時計修理専門店で部品製造を行えるわけではないということです。通常のオーバーホールでは時計の分解・内部の点検・掃除・調整といった内容がメイン作業となるので、旋盤を所有していないお店だってあるのです。
シーマスターのオーバーホールの価格はどれくらいになるのでしょうか?
あくまで目安にはなりますが、正規カスタマーサービスと時計修理専門店の価格を比較してみました。ご参考にしてください。
時計のタイプ | オーバーホール価格 | |
---|---|---|
3針クォーツ(電池式) | 51,700円 | |
3針機械式 | 63,800円 | |
クォーツ(クロノグラフ) | 57,200円 | |
クロノグラフ機械式 | 85,800円 |
メーカーの中ではかなり高額な価格帯に入ります。
それに対して、一般的な時計修理専門店でのオーバーホール価格はどれくらいになるのでしょうか?
時計のタイプ | オーバーホール価格 |
---|---|
3針クォーツ(電池式) | 18,500円 |
3針機械式 | 27.500円 |
クォーツ(クロノグラフ) | 27,500円 |
クロノグラフ機械式 | 38,500円 |
このように、時計修理専門店ではオメガのシーマスターを破格の値段でオーバーホールしてもらえます。
大切な時計のオーバーホールを、腕利きの職人に手頃な値段で手掛けてもらえるならこれ以上の話はありませんよね。それでは、そうした安心して依頼できる時計修理専門店を探す方法はあるのでしょうか?
おすすめの時計修理専門店をこちらの記事で紹介しています。
これらの中でも特におすすめしたいのが、記事の最後で紹介している「クラフトワーカーズ」。全国の厳選された時計職人さんたちを紹介しているサイトですがクラフトワーカーズの最大の特徴は、掲載している時計職人さんが全員、直接交渉のうえで掲載OKしているという点です。腕と価格設定に自信があり、すぐれたサービスをしっかり提供できると約束してくれているので安心して依頼することができますよ。他ではあまり見られない特徴です。
また、先述の通り、自社に旋盤を保有していて、すでに廃盤になっているオメガのシーマスターのパーツにぴったりな部品を製造することができるような時計職人さんも在籍しています。
クラフトワーカーズの利用方法をご説明します。非常に簡単で、まずは公式サイトで時計のモデルの詳細、購入してからの年数、故障の内容、針の状態、オーバーホールを最近受けたのはいつ頃かといったベースの情報を記入します。
すると、オーバーホール・修理ができるという職人さんたちからオファーが届きます。記載されている金額や納期の見積り、過去の利用者のレビューなどをまとめて比較できるので、ご自分のニーズや予算に合った職人さんをその中から選びましょう。
オファーに返事をしたら、その職人さんから腕時計を梱包・郵送するためのセットが一式自宅に届けられるので(送料無料)、こちらに時計を入れて郵送してください。
職人さんのもとへ時計が届くと、実際に手に取って故障の程度や時計の汚れ・摩耗・劣化などを詳しく調べます。ここで正式な金額や納期が決められ、連絡が届きます。内容に問題がなければ正式な依頼を出してオーバーホールを始めてもらえます。
すべての処置が完了したら連絡が届き、時計が代金引換で返送されてきます。ここで支払いを行って、時計のオーバーホール・修理などはすべて完了です!
非常に簡単ですよね。さらに、クラフトワーカーズでは、修理やオーバーホールを行ったあと、1年間の品質保証がついています。
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