「ファミリーリーダーシップ」と「技術革新」の2つを基盤に、エドワード・ホイヤーが20歳のときに1860年に創業した会社が、ウォッチブランド「タグ・ホイヤー」の出発点です。強い起業家精神と前衛的なビジョンを擁するブランドは、クロノグラフをはじめとする優れた技術とデザインを常に追求し続けてきました。
タグ・ホイヤーは、スピードと精密さを競うスポーツ、特にモーターレースに深い関わりを持っています。「プレッシャーに負けるな」をモットーに最高のドライバー、チーム、チャンピオンシップに寄り添い続け、公式タイムキーパーおよび公式ウォッチとなっています。1969年に誕生した象徴的なスクエアケースの「モナコ」は、モナコグランプリにインスパイアされて誕生しました。
タグ・ホイヤーは、すでに製造終了しているモデルを始めとしたアンティーク時計も人気です。タグ・ホイヤーのアンティーク時計をすでに持っている、あるいはこれから入手したいと思っている方は、オーバーホール(定期点検)について知識を深めることが大切になってきます。適切なオーバーホールによって、年代ものの時計もまるで新品のように長く使い続けることができるようにもなるからです。
今回の記事では、タグ・ホイヤーのアンティークやヴィンテージの時計をどのようにオーバーホールすれば良いのか、そしておすすめの依頼先はどこかなどを一挙にご説明します。
アンティークやヴィンテージの時計は、現行品と比べて取り扱いに注意する必要があるポイントがいくつかあります。ひとつは耐水性です。防水性能の高さをうたっている製品でも、古い時計は現行品に比べると防滴・防水性がどうしても劣りやすいもの。ガスケットの経年劣化や、リューズ、プッシュボタンなどの部品になんらかの衝撃が加わった場合、防水性に影響が出てきがちです。例えば雨の日にお気に入りのヴィンテージウォッチを着けて出かけた、梅雨の湿度の高い場所で時計を出しっぱなしにしていた、といったささいなことでも、時計の内部に湿気や水分が入り込んで故障の原因になってしまうことがあります。湿度や雨が気になる日は、時計保管用のケースに収納し、時計にとってベストな環境に置いておくことをおすすめします。
もうひとつは、耐磁性です。スマートフォンやパソコン、テレビやスピーカー、電子レンジといった、磁気を発しやすい電子機器・家電などの近くで時計を使うと、時計の針がおかしくなるといった話は聞いたことはあるでしょうか?磁器によってヒゲゼンマイの渦巻きが磁化されてしまい、時間が不正確になるという現象が起こるのです。デスクワークなどを長時間行う際は、時計は外しておくといいでしょう。現行品は耐磁性がかなりバージョンアップされていますが、それでもやはりスマホやパソコンとの相性はあまりよくないとされています。
時計は長く使われれば使われるほど、使用環境や保管環境がこれまでどうであったかという歴史の積み重ねによって耐久性・使用感が変わっていきます。適切に管理され、適切に使われ、そして定期点検をきちんと受けていれば、年季の入った時計でもその先何十年も使い続けることができます。反対に、ぞんざいな扱い方をしていると不具合が見つかって慌てて修理に出したとしても、もう二度と使えなくなることだってあります。
精密機器である時計は、素人目では分からないような小さな不具合でも見逃さず、早めに対処することが大切です。そのためにも、定期的なオーバーホールを欠かさず行うことをおすすめします。
オーバーホールを行う頻度は、クォーツ式時計では4年に一度、機械式腕時計は3~5年に一度が目安とされています。機械式時計は自動巻き・手巻きいずれも同様です。もちろん、製造年代が古いアンティークやヴィンテージの時計や、時計にとって過酷な状況での使用が長期間続いた場合は、より短いスパンでのオーバーホールが必要です。
オーバーホールの作業そのものはメーカーや時計の専門業者に依頼することになります。主な作業内容としては時計の分解、内部の点検、掃除、調整などですが、中に劣化あるいは摩耗した部品が発見された場合には修理も行います。これによって時計内部を良好な状態で維持することができます。
どんなに大切に扱っていても、精密機器である時計は、使用期間が長くなれば長くなるほど摩耗する箇所が出てきます。定期的にオーバーホールを受ければ、そうした部品を早期に発見して交換・修理ができるので、その後も長く使い続けることができるようになります。
タグ・ホイヤーでは、腕時計の点検・オーバーホール・修理を公式サービスとして行っています。ブランドが所属するLVMHウォッチ・ジュエリージャパンの、高度な専門知識と技術を備えた時計職人達が、スイスのマニュファクチュールと同じ要件を満たした高品質なサービスを提供しています。時計の保守点検においてはそれぞれ特定の設備や技術が必要となりますが、正規サービスでは包括的に施してもらえるので安心ですね。
タグ・ホイヤーでは「コンプリートサービス」と言い、時計の機能と外観の両方を修復するサービスがあります。時計の分解とオーバーホールにはじまり、摩耗した部品の交換や防水性を回復するケースのガスケット類の交換が含まれています。このほか、特定の部位だけにフォーカスした部分サービスもあります。
コンプリートサービスでは、クォーツ式時計は41,250円~59,400円、機械式時計は57,750円~204,600円が金額目安となります。なお、日本の正規販売店でタグ・ホイヤーを購入した方は、会費無料の会員制クラブのエドワードクラブに入会することができます。会員特別価格でオーバーホールなどを受けることができるので、入会しておいて損はありません。
正規サービスセンターに依頼したい場合は、カスタマーサービスに連絡を取るか、正規販売店に直接持ち込みましょう。オンラインで修理の進捗の追跡や支払い、スタッフへの問い合わせなどができるフォローアップ体制が整っています。
一点注意が必要なのは、タグ・ホイヤーの公式サービスでは腕時計の部品の保有期間が明確に決められていることです。そのモデルが廃盤になってから10~15年で部品の製造はストップするので、タグ・ホイヤー公式のメンテンスを受けることができなくなってしまいます。
アンティークのタグ・ホイヤーなどで、保有期間が切れてしまった部品は、メーカーで修理することはできません。適当な代替品があればそれを使ってもらえる可能性がありますが、せっかく時計を依頼に出したのに「直せません」とそのまま返送されてしまうこともあります。
また、「大した故障ではないと思うから、気にせずそのまま使い続けよう」というのもリスクが高いです。摩耗や劣化のある部品を時計の内部に放置したまま使っていると、時計の針の進み具合がおかしくなったりと、実用面で困った影響が出やすくなります。さらに、カレンダー機能やストップウォッチ機能が使えなくなるなど、故障の度合いが大きくなってしまうことも。オーバーホールと修理を迅速に施すべきでしょう。
メーカーに修理が依頼できないとなると、外部の時計修理専門店に依頼することが唯一の選択肢になります。
部品がメーカーで製造終了となった場合でも、市場にはまだ出回っているということがあります。例えば老舗の時計修理専門店では、タグ・ホイヤーのアンティークの部品を確保していることがあります。有名ブランドの時計のパーツはある程度在庫として保管しているということです。こうした専門店であれば、タグ・ホイヤーのアンティークのアンティークやヴィンテージでも元のように直せるでしょう。
また、時計修理専門店の中には、旋盤を使って部品を自社製造できるというところもあります。市場に出回っていない部品であっても、その時計にもっともフィットした形で作り出せるということです。こうした実力派のお店を「時計のかかりつけ医」として見つけることができれば、タグ・ホイヤーに限らず、どんなブランドの時計でも安心して修理の相談ができますよね。
時計修理店でも部品の自社製造を行っていないお店も少なからずあることを忘れてはいけません。
通常のオーバーホールや修理では、点検や掃除、部品の交換までの作業を行います。1から部品を作るサービスを提供しているのは限られたお店になります。旋盤を使っていないお店に「部品がないから作って欲しい」と要望を出しても、当然断られてしまいますよね。
自社で部品を製造できる時計修理専門店はどのように見つけたらいいのでしょうか?次の章では、おすすめの時計修理専門店をご紹介します。
こちらの記事でおすすめのお店を3件ご紹介しています。
この中でも特におすすめしたいのは「クラフトワーカーズ」です。
「クラフトワーカーズ」は、時計修理技能士という国家資格の1級を保持している、全国のすぐれた時計職人さんたちを紹介している総合サイトです。
製造終了になっても、旋盤を使って自社でパーツを製造できるという職人さんも多く在籍しているので、タグ・ホイヤーのアンティーク・ヴィンテージの時計を持っている方でもオーバーホールの依頼を出しやすいです。
「クラフトワーカーズ」の利用方法は簡単です。まず公式サイトに時計のモデル、時計の詳細、購入年数、針の状態、オーバーホールを最後に行ったのはいつか、故障の具合はどのようであるか、といった基本的な情報を入力しましょう。
すると、「この故障を修理できます」という職人さんたちからオファーが届き始め、職人さんたちが見積を出した金額や納期などをまとめて比較できます。さらに今までそのお店を利用したことのあるお客さんたちの評価・レビューを見ることも可能。「この人に依頼してみたい」という職人さんがいたら連絡をとってみましょう。
続いて、オーバーホールしたい時計の現物を、選んだ職人さんのもとへ送りましょう。梱包キットは自宅に送ってもらうことができ、また送料は無料です。
ここで職人さんが時計の実物を見て、正しい金額や納期を改めて提出してくれます。もし希望に沿わなかったら返却してもらえます。そのまま依頼したい場合は、正式なオファーを出しましょう。
修理が終わったら連絡が届きます。クラフトワーカーズでは、修理やオーバーホールの後に1年間の品質保証がついているのでさらに安心ですね。時計を受け取るときは代金引換となります。
アンティークやヴィンテージの時計を修理を依頼したいとき、「クラフトワーカーズ」なら手軽に安心して利用することができます。公式サイト内でも「取引の流れ」や「よくあるご質問」など、丁寧に説明されていますので、ぜひ一度覗いてみてはいかがでしょうか。
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