腕時計業界で不動の地位を築きあげてきた名門ブランド、ロレックス。そのディフュージョンブランドとして、ロレックス黎明期にその知名度向上と販路の拡大という目的のもとで、1930年代に誕生したのがチュードル(チューダー)です。チュードルは「庶民でも手が届く値段のロレックス」として瞬く間に人気を集めました。
PR
ディフュージョンブランドとは、販路拡大と普及を目的に、ブランドの通常価格帯よりも低価格で展開しているブランドのことを言います。高級ブランドと同じ意匠やパーツを使った高品質の腕時計が、手の届く価格で展開されていることで、より多くの人に手に取ってもらえてそのブランドの価値を知ってもらうことができるというわけです。
チュードルもロレックスと同じパーツが随所に施されています。文字盤や裏蓋、リュウズのほか、ロレックスの代名詞である防水ケース「オイスターケース」も採用されています。
当時ロレックスはイギリス市場を重視しており、チュードルもイギリスの一般層向けに1930年代に発売されます。ブランド名はもちろん、エリザベス1世を輩出した王家「チューダー家」に由来していて、イギリス国民ならば誰もが知っている名前です。ロレックスの普及と知名度向上のためにローンチしたチュードルは、イギリス国内だけでなく、瞬く間に世界中にその名を知られるようになりました。もちろん日本でも高い人気を獲得します。
ロレックスが世界に名前を轟かせるようになり、チュードルの認知度も広がったところで、チュードルは1990年代頃からディフュージョンブランドとしての立ち位置から離れて独自路線を歩み始めます。
「イカ針」や完全自社製ムーブメント「MT5601」の開発、カジュアルファッションに似合うデザインバリエーションの豊富さなど、チュードルだけのオリジナルの魅力を次々と打ち出していきます。ラグビーワールドカップのオフィシャルタイムキーパーを務めるなど、品質とブランドへの信頼感も不動のものになったといえるでしょう。
チュードルの「クロノタイム」は1976年誕生。ロレックス「デイトナ」を思わせる美しく堅牢な外観に、それまでは同ブランドで手巻き式だけだったところへ自動巻きクロノグラフムーブメントETA”バルジューCal.7750”を搭載させるなど、いっそう特別感を引き立たせるモデルとして新登場しました。
バルジュー社の自動巻きムーブメントを内蔵していたこのケースは厚みがあり、日本では「カマボコケース」、海外では「Big Block」という愛称でなじみがあります。
初期モデルは現在製造が終了していますが、その後もセカンドモデル、サードモデルと次々新しく打ち出されていきました。セカンドモデルはカマボコケースを継承しつつも数多くのマイナーチェンジを行っており、もっともロレックスの「デイトナ」に近いジェネレーションと言われ人気は右肩上がりです。また、サードモデルは風防がサファイアクリスタルガラスになったり外装のマークがチュードルの盾ロゴに変わっていたりと、さらに洗練されていきます。
長年「クロノタイム」はモデルを刷新しつつ時計ファンたちから愛されてきましたが、2005年頃に惜しまれながら製造終了となりました。それから現在に至るまで、チュードルでは「クロノタイム」はつくられていません。
ロレックス「デイトナ」を彷彿とさせながら、オリジナルの魅力と風格を漂わせつつ低価格帯のモデルを展開する、チュードルの「クロノタイム」。製造終了からも根強くファンを引き付けており、今後さらに市場価値が高まる可能性も高いです。すでに所持しているという方も、これから購入を検討しているという方も、「クロノタイム」を長く愛用し続けるためのポイントを知っておくと良いでしょう。その一つとして特に重要なのが定期的なメンテナンス、すなわちオーバーホールです。
腕時計は24時間常に動き続けており、着用していないときも針や針や内部機構は動き続けています。そのため、摩耗や経年劣化、サビなどがどうしても発生し、小さな不具合をそのまま放置していると悪化の一途をたどってしまいます。「故障したら修理すればいい」という安易な気持ちでいると、いざ修理に出してみたら手の施しようがなくなってしまっていた、という最悪のケースに発展してしまうことも珍しくありません。
こうした事態を防ぐのがオーバーホールです。オーバーホールは時計の良好なコンディションをキープできる定期メンテナンスで、時計をパーツごとに分解し、点検・精度調整・組み立て・注油・洗浄などの一連のケア作業を行います。さらに、不具合や故障が見つかったら修理を施します。
今回は、チュードルの「クロノタイム」のオーバーホールはどこに依頼すると良いか、公式のリペアサービスより低価格かつ優良なオーバーホールの店はあるかなどをまとめて解説する記事です。オーバーホールにかかる費用や注意点なども紹介していますので、ぜひご参考にしてみてください。
チュードルのオーバーホールを受ける際、オフィシャルのサービスとしては正規販売代理店経由で修理センターに送るか、または修理代行を引き受けている日本ロレックスに依頼するという方法から選べます。
オーバーホールは時計本来の機能を回復し、ケースやブレスレットなどの輝きを取り戻す重要な作業です。腕の確かなロレックスの時計職人に任せられる公式サービスは安心ですよね。
チュードルのオーバーホールを公式サービスで受けると、どのくらいの費用感になるのでしょうか。あくまで目安ですが、
価格表を作成したので参考にしてみてください。
<チュードルの正規のオーバーホール料金目安>
タイプ・仕様 | 「オーバーホール料金 |
---|---|
機械式 | 38,500円 |
機械式(デイト付き) | 39,600円 |
機器式(デイデイト) | 45,100円 |
機械式(ダブルデイト) | 50,600円 |
機械式(アラーム) | 63,800円 |
機械式・クロノグラフ | 55,000円 |
機械式(フライバッククロノグラフ) | 55,000円 |
クォーツ式 | 38,500円 |
使われているキャリバーの種類や、パーツの交換・修理の発生などによって料金が変わることにご注意ください。
なお、チュードルまたは日本ロレックスの公式リペアサービスでオーバーホールを受けると、2年間の防水・動作保証がつきます。
一般的に腕時計のオーバーホールは、クォーツ式は4~5年、機械式時計は3~5年ごとに行うと良いと言われています(チュードルでは機械式時計は4~5年、クォーツ時計は使い込んでも7~8年に一度のオーバーホールを推奨しています)。
チュードルや日本ロレックスにオーバーホールを依頼した場合、約4万円~ほどの作業費用がかかります。パーツ交換や修理などが必要になった場合は、部品購入など他の料金がさらに加わります。
公式リペアサービスにオーバーホールを依頼する際、ひとつ注意が必要なことがあります。それは、腕時計に不具合やたとえわずかでも発生していたり、モデル自体が製造から時間が経っていたりすると、かなり早い段階でパーツ交換・修理を行う必要があると判断されやすいという点です。
腕時計の各ブランドには部品の保有期間がそれぞれ決まっており、その期間を過ぎてしまうと部品の供給がストップするため、パーツ交換が純正品ではできなくなってしまうのです。チュードルの「クロノタイム」は全モデルが製造終了しているため、公式サービスとしては腕時計の品質を守るためにも、純正品を使って早く修理をしたいもの。その結果、当初希望していた予算よりもオーバーホールにかかった費用が高くついてしまった、ということが起こります。
「きちんとした業者にオーバーホールしてほしいけど、予算を大幅に上回って費用がかかるのは困る……」
このように思っている方は少なくないと思います。チュードルの腕時計を公式サービスよりもお手頃な価格で、質の高いオーバーホール技術を提供しているお店があることをお知らせしたいと思います。それは腕時計修理専門店です。
腕時計修理専門店とひとくちに言っても、お店は全国各地にあり、大手の全国チェーンから地元で愛されている個人経営店まで、タイプも規模も千差万別です。それらすべてで同じサービスの質や価格で提供しているわけではありません。
チュードルのオーバーホールの平均相場は約2万円後半~です。最終的な納期と見積もりは各お店に見積もり依頼をして出してもらう必要がありますが、それでも公式リペアサービスに依頼するよりも約半分ほどの値段でオーバーホールしてもらえると考えて良いでしょう。(※なお、パーツ交換や修理が行われる際は別途料金が発生します)
また、前述のように、腕時計ブランドは部品保有期間がそれぞれ決まっています。保有期間を過ぎてしまうと、ブランド公式では純正品ではなく代替品を使用するか、またはパーツ交換や修理を断られてしまう可能性もあります。一方で、腕時計修理専門店には、チュードルのような有名ブランドの時計のパーツ在庫を保有しているところがあります。
さらに、自社で旋盤を使ってパーツを自作できる時計修理専門店もあり、その時計にもっとも合った部品を一から作ってもらえます。
腕の確かな専門店と出会うことができれば、チュードルの時計はもちろん、その他のブランドの時計のオーバーホール・修理を依頼することができますよね。
時計修理専門店にオーバーホールを依頼すると、公式サービスよりも比較的お得な価格でサービスを受けるというメリットがあります。その一方で、気をつけなくてはならないこともあります。それは、お店の間でサービスの品質や技術力が均一ではないという点です。
時計修理専門店の中には、世界的な時計ブランドや総合百貨店から腕時計のオーバーホールや修理の仕事を委託されているというところもあります。良いお店と出会うことができれば、一生のお付き合いになることも。だからこそ、時計修理専門店はよく見極めて選ぶことが大切なのです。
「どの時計修理専門店に依頼すると良いの?」
「あらかじめお店の実力を知る方法はない?」
そうした疑問に対して、判断のひとつの目安となるのが、そのお店に在籍する時計職人さんが国家資格の「1級時計修理技能士」を保有しているかどうかです。
「時計修理技能士」資格は3級からあります。1級は実務経験7年以上がある人が取得できます。または、3級取得後の実務経験が4年、2級取得後の実務経験が2年あるという人も取得可能です。
1級時計修理技能士の職人さんなら、オーバーホールの技術力の高さが一定以上であると考えて問題ありません。そこに加えて、お店が設定している価格や納期などがご自分の希望に合っているかを考えてみると、お店選びがぐっと具体的になるはずです。チュードルやロレックスの腕時計のオーバーホール・修理経験が豊富だという職人さんがいれば、さらに安心ですよね。
「腕時計修理専門店の選び方が分かった!でも、沢山ある時計修理専門店のひとつひとつをリサーチして良いお店を見つけるのは大変そう……」
こうしたお悩みを持っている方に、今回おすすめの時計修理専門店をご紹介いたします。まずは次の記事をご参考になさってください。
この中でも特に、記事の最後に掲載している「クラフトワーカーズ」は、日本全国にいる腕利きの時計職人さんたちを厳選して紹介している、時計修理の総合サイトです。
クラフトワーカーズの特徴の一つに、時計職人さん一人一人と交渉して、技術や値段、納期に自信ありとして掲載OKと返事をしてくれた職人さんだけを紹介していることがあります。
また便利なのが、優秀な時計職人さんたちからまとめて見積もりをとることができる点です。自分でインターネットなどを使って地道に探しているときは見つからなかった全国各地のお店が、一気に比較できるようになります。予算や納期などを見比べて、納得できるお店に依頼をかけることができます。
チュードル「クロノタイム」はすでに製造終了していることから、今後さらに市場価値が上がっていくと考えられています。長く愛用していくためには、定期メンテナンスであるオーバーホールを正しく受けることが大事です。優秀な時計職人さんに依頼したいときは、どのようにお店を選ぶかが肝心。ぜひ本記事をご参考になさってくださいね。
この記事が役にたてばシェアして下さいpublic
Comment