海外有名腕時計ブランドというとムーブメントに使われている部品や製造元に関してはメイド・イン・スイスというのがほとんどで、業界もスイス製ムーブメントが一番といった評価が通例となっており、現在もスイス信仰は続いています。
しかしその蔭に隠れて凄まじいまでのクラフトマンシップでスイス製を凌駕するクォリティを持って頑固なまでにマニュファクチュールにこだわり続ける国があります。
すなわちメイド・イン・ジャーマニー、ドイツ製ムーブメントです。ドイツの小さな町グラスヒュッテが最も知られた腕時計の聖地といわれており、ここから様々な有名ブランドを輩出し、現在ではスイス製ムーブメントに引けを取らない名声を獲得しています。
そんなドイツ製ムーブメントを採用したブランドの中でグラスヒュッテで製造されたムーブメントの最高精度の腕時計に与えられた称号チュチマの名を冠したUROFA社・UFAG社から発展したドイツ製高級ブランドがチュチマです。
1927年から始まったUROFA社・UFAG社の腕時計製造技術は非常に優秀で有名なモデル フリーガーはチュチマのスタンダードラインとして長い期間にわたって現在も現行モデルとして人気が高いです。
さらに1969年からのクォーツショックを乗り越えたUROFA社・UFAG社は1983年、社名を代表コレクションの名称であるチュチマに統一し、1984年に現在の代表モデルであるM2を発表、現在も新ラインアップを拡充し魅力的な腕時計を世に送り出しています。
チュチマは基本的にUROFA社がムーブメント部分を、パーツ・ケースデザインなどの部分はUFAG社が担当する分業制をとっており、その両輪が見事に噛み合い、高品質な腕時計の量産に成功しています。
さらにチュチマは優れた他社ムーブメントの採用にも積極的で代表的なところではETA社、特にゼニスの名ムーブメント、エル・プリメロとチュチマの関係には深いものがあります。
こういった柔軟な姿勢がチュチマのチュチマたる所以で、自由でありながら地道な発想から数々の名腕時計が生まれてきました。
こういった背景を持つチュチマの腕時計を末永く愛用するためには定期的なメンテナンスが必須となり、特にオーバーホールに関しては使用期間が3~5年以上経過したムーブメントに関しては絶対行わなくてはならない作業になります。
ではチュチマの腕時計を正規メーカーにオーバーホール依頼した場合、料金はどのくらいになるのでしょうか。
チュチマ正規メーカーオーバーホール料金
駆動方式 | オーバーホール料金 |
---|---|
手巻き式(無垢ケース) | 55,000円~ |
自動巻きノーマル | 33,000円~ |
自動巻きクロノグラフ | 56,100円~ |
正規メーカーの場合このような料金設定になっており、正規メーカー他社の設定に比べると非常に抑えられた嬉しい設定になっています。
正規メーカーにオーバーホール依頼するメリットとしてはとしては作業を担当するのがチュチマ専門の熟練したスタッフのために安心感が高いこと、作業工程で部品交換が必要になった際には100%純正パーツが使用されること、また作業完了後のアフターサービスが行き届いていることなどが挙げられます。
特にチュチマは自社製以外にも他社ムーブメントも積極採用しているのでこういった細やかなアフターサービスはとても頼りになります。
日本製を除いてほぼ全ての高級ブランド腕時計に共通する事例ですが、輸入腕時計には販売ルートとして正規輸入ルートと並行輸入ルートの2つがあり、正規販売店での購入と並行輸入で購入された腕時計には商品は全く同じものですが、アフターサービスに違いが生じることは良く言われています。
一般的に並行差別と呼びますが、一例では正規販売店で購入されたもの以外は修理を受け付けしない、また受付されたとしても正規料金以上の高額な修理料金を要求されるなどの事例が多く挙げられています。
ではチュチマの場合はどうかというと修理そのものに関しては、保証書があり本物であることが証明されれば受け付けてくれますが、オーバーホール料金は正規料金より大幅な割増料金を取られることになります。
この点に関しては並行差別が行われているといってよいでしょう。チュチマに関してはムーブメントが自社製以外にも他社製ムーブメントを使用しているモデルが数多くありますので、このような措置を取らざる負えない部分も大きいですが、大きな理由は並行輸入品の乱売による価格下落防止のための措置と考えられるのでチュチマの場合並行輸入品を購入した場合、正規メーカーにオーバーホールを依頼する際には十分な注意が必要になります。
チュチマのムーブメントはモデルごとに自社製や他社製ムーブメントが混在するので、部品保有などが正規メーカーでは期間に限りがあるために、オリジナルの状態を維持したい場合や、並行輸入品のために料金の予算的な問題がある場合には腕の良い腕時計修理専門店に依頼すると良い場合があります。特にすでにヴィンテージモデルになっていて正規メーカーに純正パーツのストックが無い場合などには融通が利き、中には古い純正パーツをストックしている店舗に出会える可能性もあるのでおすすめです。ではチュチマの腕時計を腕時計修理専門店にオーバーホール依頼した場合料金はどのくらいになるのでしょうか。
チュチマ腕時計修理専門店オーバーホール料金平均相場
駆動方式 | オーバーホール料金 |
---|---|
手巻き式 | 29,700円~ |
自動巻き | 30,800円~ |
自動巻きクロノグラフ | 46,200円~ |
専門店によって差はありますが平均相場で見るとこのような料金になり、お得な料金になっています。腕時計修理専門店にオーバーホールを依頼する大きなメリットとしてはやはり格安な料金にあり、負担が軽減されますので予算面で心強いです。さらにメリットとして納期の早さが上げられ通常正規メーカーの場合1ヶ月~3ヶ月かかるところを2~3週間で納品できるのが強みになっています。
逆にデメリットとしては作業をチュチマ専門のスタッフが手掛けるわけではないので安心感に不安が残ること、また作業の工程で部品交換が生じた場合には純正パーツではなくジェネリックパーツが使用されること、さらに肝心の仕上がりに関しては担当する技能士の技術しだいで仕上がりにバラつきが出ることなどが挙げられます。特にチュチマのように複数の会社のムーブメントを採用している腕時計の場合だとムーブメントに対する高い知識が必要になりますので腕時計修理専門店を利用する場合には店舗の見極めが大切になってきます。
チュチマのように自社製ムーブメントの質が高く、さらに他社の優秀なムーブメントも採用している腕時計の場合だとやはりメンテナンスに出すのは正規メーカーに依頼するのが得策といえます。
自社で採用しているムーブメントを知り尽くしているために安心してメンテナンスを依頼することができます。
しかし、ヴィンテージモデルで純正パーツが無くオリジナルの状態を保ちたい場合や並行輸入品を購入してオーバーホールの予算の関係で困っている場合には腕時計修理専門店を利用するのは一つの選択肢として良い方法です。
しかし日本には腕時計修理専門店の数が多すぎて一体どこに依頼すればよい結果が得られるのか不安な人も多いでしょう。
そういった場合にはその腕時計修理専門店在籍の技能士の取得資格を調べるのも良いです。特に1級腕時計修理技能士は上級資格として登録されているので安心感の目安になるでしょう。ですが現在はほとんどの腕時計修理専門店が1級腕時計修理技能士在籍と謳っているので店舗の選択が悩ましい状況ではあります。
今ではインターネット等で情報の収集も可能ですが不確かな情報が多く、かえって混乱してしまうでしょう。
こちらの記事では私のおすすめの修理専門店を紹介していますので合わせて参考にしてみてください。
こちらの、記事のなかで一番の私がオススメしたいのは修理専門店はクラフトワーカーズです。
このサイトでは複数の修理専門店から優秀な腕時計修理技能士を紹介しており、依頼する側は一括で複数の技能士に見積もりを依頼することができます。
一括見積もりでは、料金や納期はもちろん、職人として何年の実績があるのか、どんな資格をもっているのか、過去のお客さんのレビューなどから比較することができ、本当に信頼のおける技能士に作業をお願いすることができるのでとても便利です。
また、簡単な時計情報を記入するだけで、時計を送らずに一括見積もりができるので是非試してみてください。
チュチマのような優れたムーブメントを搭載し会社の枠にとらわれず優れたムーブメントは積極的に導入するといったブランドの場合、正規メーカー以外にオーバーホールを依頼する際には本当に信頼の置ける優れた腕時計修理専門店に依頼するのがおすすめです。
ただその場合、店舗の見極めをしっかり行い店舗の選択を誤らないようにしなくてはならないので、くれぐれも腕時計修理専門店にオーバーホールを依頼する場合には注意して下さい。
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