機械式時計のムーブメントを分解して、組み立ててみました。
分解したキャリバーはETA6497-1で17宝石の18,000振動のムーブメントです。ヤフーオークションで2万円前後で落札されています。
18,000振動の機械式時計には、このETA6497-1が搭載されたものが多いようです。
この日は時計技師の同行のもと分解をしました。メカの分解に興味がある人の参考になればと思います。
振動とは1時間に“時間のペースを作る機構”動いた回数です。
数が多い = 動きが速い = ハイビート
数が少ない = 動きがゆっくり = ロービート
と分けられています。今回分解した18,000振動はロービートになります。ハイビートの場合は28,800振動、36000振動がメジャーな振動で28,800振動未満の振動数はロービートと言われる事が多いです。
ロレックス、オメガ、タグホイヤー、IWCなど、多くの高級機には高い精度が出し易いハイビートが採用されています。
ロービートは、動きがゆっくりな分、振動数を抑えることができます。振動数を抑える事でパーツが擦れる摩耗を防ぎムーブメントを長持ちさせることが可能になります。
また耐久性も高く、故障しにくいというメリットがあります。ただ振動数が少ないことにより、精度の調整に技術を要するというデメリットもあると言われています。
技術革新によりロービートなのに精度が高いものやハイビートなのに耐久性が高ものもある為、一概にはいえようですがロービートとハイビートにはこのような違いがあります。
今回私はムーブメントと分解し組み立て直し再度動かしましたが注油や調整はしていません。
分解図に書いてありますが、注油をする場合このキャリバーでは
と4つのオイルを使う事になるようです。
オーバーホールでは同じ油でも場所によって油の硬さや種類を変えて注油を行います。
人間には利き腕があるように、利き目があります。
時計の分解のように細かな作業は効き目を使うと良いようです。
オーバーホールを行なってる人がルーペを片方の目に付けていますよね。みなさん効き目に付けて作業を行なっています。
自分の効き目を知るには腕を伸ばして右手と左手を合わして三角をつくります。
ドラゴンボールの天津飯の気功法みたいな形ですね。
その三角の中に基準となる動かないモノが収まるようにします。
この状態で、片方の目だけをつぶると、どちらかの目だけ基準となる物が三角から消えてしまいます。
消えなかった方の目が効き目です。
今回の分解組み立てで使った道具は以下になります。
これがETA6497-1の分解図?技術資料?です。プラモデルのような説明書ですよね。
ETAのの分解図は【ETA Technical Documents】で検索すると色々なキャリバーがでてきます。
時計修理技師の方なら、パーツを見ただけで、この歯車は3番車、これが4番車と分かるかもしれませんが、私のようにド素人というか興味で分解してもようと考えてる人は、この説明書がないと、まず組み立てられないかと思います。
分解図は何の部品が使われていて、それを何処にはめるかが記載されています。
分解図があっても非常に大変な作業でした。
ETA6497-1は全45パーツと機械式ムーブメントの中では少ないほうですが、分解から組み立てまで6時間ほどかかりました。
時計修理技師の方は、使っている部品が多く複雑なクロノグラフでも3〜4時間ほどで行なうようです。
分解と組立を行いましたが、組み立ての方が圧倒的に難しかったです。
ETA6497-1に関してかもしれませんが、固定台とドライバーとピンセットを用意して、順番を守れば分解まではなんとかなると思います。
※個人差もあると思うので自己責任でお願いします。
これがテンプ受けとテンプです。この部分の取り外しが一番難しく緊張しました
板の部分のテンプ受けをピンセットで摘み取り外すのですが細いひげが、ぶらんぶらんとぶら下がり凄く恐かったです、からまったりしないか、折れたり曲がったりしないかと、凄く心配で慎重になりました。
テンプは機械時計の心臓ともいわれていてヒゲによってコントロールされています。
規則正しい回転運動を行ないう事で一定速度の振動を保つ役割を持つパーツです。
機械式時計は動力源にゼンマイを使っていて、そのゼンマイが香箱の中に入っているのですが、長さが30cm以上あるようで、取り出して元の状態に収められる自信が無かったの開けられませんでした。
勇気がありませんでしたので開けれませんでした。
1番受けや、2番受けなど、大きいパーツは外しても何処に組み直すか、なんとか分かりますが歯車や天真など細かいパーツはバラバラになるとパニックになります。
外した順に並べておくと組み上げの時に次に何をはめて行けば良いか分かるので興味で分解をしてみる人は強くおすすめします。すぐに組み上げないのであれば写真を撮っておいてても良いと思います。
外した部品を順番に並べていたので、次にどの部品をはめてれば良いかはわかるのですが、どの部分に組むのかなかなか分かりませんでした。分解図がなければまず組み立てられないと思います。
また、場所が分かっても髪の毛よりも細い繊細な部品を穴に落とす作業が続き非常につかれました。
ガンキ車は受けと噛合っているのか、このままネジをしめたら折れないか‥などなど目視では確認できないほど細かい作業が続きました。カタカタと揺らし穴に落ちたかな?っといった感覚の部分が多かったです。
本当に万全の注意を払い神経をすり減らす作業だと感じましや。分解までが結構上手くいったので正直なめていました。
組み立てで一番難しかったのがアンクルの取り付けです。
アンクルはアルファベットのTのような形をした金属で先に二本のルビーがはめ込まれたものです。
機械式時計から聞こえてくる“カチカチ”と聞こえるのはアンクルがガンキという部分とあたっている音です。
このアンクルが鼻息で吹き飛びそうなほど小さくシッカリはまっているのか、はまっていないのか、分からなくかなり苦戦しました。
私の場合、分解図があっても組み立ては難しかったです。
メジャーなキャリバーでしたらYouTubeで分解組み立ての動画があるので、それを見ながら作業を行なう事もおすすめします。
よく機械式時計ファンは外観より中のキャリバーが大事だと言いますが、メカの仕組みをのぞいてみて、ほんの少しだけわかった気がします。
私はロレックスや、オメガ、IWCなどの高級時計を知名度や外観で見ていた部分もありましたが、今回機械式ムーブメントを触ってみて肝となる部分はやっぱりムーブメントにあるなと感じました。
分解したキャリバーETA6497-1が良いとか悪いとかそういう意味では無く、電気を使わずゼンマイと歯車のカラクリだけで動く仕組みや動きにロマンを感じ純粋にかっこいいと感じました。
組み立ての最後テンプを取り付けたるのですが、ひげが動き出したのは本当に感動しました。
趣味やDIYとして時計の分解組み立てを行なう事はできるかもしれませんが、精度を出す調整までは難しいと思います。
個人的には、自分でオーバーホールを行なう事はおすすめしませんが、どうしても自分でオーバーホールを行いたいって方は、壊しても良いと思える機械からなれていく事をおすすめします。
趣味で分解を楽しむ分には良いと思いますがオーバーホールは専門家にまかせた方が良いと思います。 分解が上手とは言え素人では専門家にかなわないです。
わたしのオススメの時計修理工房をこちら時計のオーバーホール本当におすすめの2つの修理店 に纏めてあります。今後オーバーホールに出す予定の方は参考ににしてみてください。
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