「時代を超え不滅」であるべき時計としてつくられた、シャネル初の本格的機械式腕時計「J12」。シャネル初の男性用腕時計として2000年に発売されたスポーツウォッチです。
最初に登場した「J12」はブラックセラミック。革新的な素材・色使いと研ぎ澄まされたエレガンスは腕時計業界に衝撃を与えました。セラミックは傷や変色に強く、まさに「時代を超え不滅」にふさわしい素材と言えるでしょう。それまでもセラミックを時計に採用していた事例はありましたが、伝統的な機械式腕時計の実用性と強烈な個性を兼ね備えた「J12」はあっという間にセラミックウォッチの代名詞的存在に上り詰めます。
シャネルは女性たちに従来の価値観から解放されるファッションを提案してきたファッションブランドでした。そして今度は「J12」によって、シャネルのエレガンスとエスプリを男性たちに向けて解放したのです。
「J12」はその後、ハイエンドのコレクションをいくつも生み出していきます。そして誕生20年を迎えた2020年に大胆なリニューアルを遂げましたが、そのコンセプトは「何も変えずにすべてを変える」というものでした。デビュー当時から、洗練された普遍的なデザインが完成されていたことがうかがえます。
「J12」は素材・機構いずれも堅牢で、大切に扱えば何十年も使い続けることができます。誕生当時のモデルもミニマルかつ洗練されており、いつまでも色あせることのないデザインを誇ります。一生物の時計として愛用できるからこそ、オーバーホールを欠かさず行うことが大切になります。
今回の記事は、シャネルの「J12」のアンティークやヴィンテージの時計を入手したいと思っている方や、すでに所有している方に向けて、オーバーホールをどこで受けると良いのかを解説しています。シャネルの公式リペアサービスでアンティークやヴィンテージのオーバーホールを受けられる場合の値段や注意点、また、より低い価格感で受けられるお店をご紹介していますので、ぜひご参考になさってください。
シャネルでは時計のメンテナンスを公式に受けるリペアサービスを用意しています。シャネルブティック、シャネル ファイン ジュエリー ブティック、またはシャネル ウォッチ正規販売店に時計を持ち込むと対応してもらえます。
または、オンラインでも申し込みできます(いずれの場合も、保証期間内でオーバーホールを受ける場合は、保証書に必要事項を記入して持参してください)
腕時計は精密な機構でできているので、修理・点検を受ける際にシャネルでは、目的別に「メンテナンスサービス」「トータルサービス」と分けて対応しています。防水機能検査や不具合部品の交換、超音波洗浄などの基本的な部分の調整は「メンテナンスサービス」、分解とクリーニング、ムーブメントの調整などのオーバーホール作業は「トータルサービス」で行います。
☆シャネルリペアサービスで「J12」のアンティーク・ヴィンテージのオーバーホールを依頼すると費用が高くなることも
ちなみに、腕時計のオーバーホールの頻度は、クォーツ式なら4~5年、機械式時計なら3~5年ごとに受けることが推奨されています。シャネルでは基本的に4~5年ごとのオーバーホールをおすすめしています。
シャネルの腕時計のオーバーホールを正式リペアサービスに依頼すると、料金はどれくらいになるのでしょうか。
<シャネルリペアサービス「トータルサービス」の料金目安>
バッテリー交換 | クォーツ式ムーブメント | 機械式ムーブメント |
---|---|---|
6,600円~ | 40,700円~ | 49,500円~ |
なお、シャネルのムーブメントは自社製のものか他社製のものかで価格が変わります。原則として自社製ムーブメントのほうがオーバーホールの価格は高くなります。
「J12」はかつては汎用ムーブメントでしたが、2019年のリニューアルから自社製キャリバー「12.1」へと変わり、2021年にはさらに縮小・配置変更を行った「12.2」が採用されるようになりました。このキャリバーはスイス公認クロノメーター検査協会(C.O.S.C.)認定を受けており、小型ムーブメントながら長時間パワーリザーブと実用性を兼ね備えています。
アンティークやヴィンテージのモデルでは汎用のムーブメントである可能性があります。そのため、価格は比較的安くなる?と思われますが、実はアンティークやヴィンテージのオーバーホール・修理は現行モデルよりも割高になるケースが多いです。
その理由は、年代物の時計ほど防水性や耐磁性が落ちていたり、細かい傷や摩耗・緩みが出ていたりと、デリケートなケアが必要な部分が多くなるからです。見た目や実用性において一見不自由のなさそうな時計でも、製造年が古ければシャネルリペアサービスでは部品交換などを行うことがほとんどだと考えて良いでしょう。
製造が終了しており、保有期間を超えてしまった部品で交換が必要になると、代替品を使用するか、あるいは交換そのものが不可能になることがあります。
なお、シャネルリペアサービスで行われた修理は、24カ月間の修理保証がついています。
シャネルリペアサービスでオーバーホールを受けると、技術力の高い時計職人の手によってメンテナンスしてもらえるほか、部品交換を純正品で行ってもらえたり修理保証がついていたりと安心なことが多いです。
しかし、ここまでご紹介してきたように、すでに交換用部品のストックがなくなっている、予算が厳しい、といった懸念点によってシャネルリペアサービスにはオーバーホールの依頼ができないという方もいらっしゃるでしょう。
「もっと低い価格で、優良なオーバーホールを受けられる依頼先はない?」
こうした悩みをお持ちの方に、今回は時計修理専門店をおすすめいたします。
時計修理専門店は全国各地にあり、地元密着型の個人店から大手チェーンまで、お店の規模や特徴も千差万別です。
料金や納期はお店によって異なりますが、オーバーホールの平均相場としては20,000円後半~が目安。正規サポートの半額近くになることもあります(部品の交換が必要になった場合は別途費用がかかります)。
シャネルの時計の取り扱いに慣れた時計修理専門店に依頼できれば、製造から長く年数が経っている「J12」のパーツを保管していたり、または自社の旋盤を用いて1から パーツを作ってくれたりするかもしれません。
アンティークやヴィンテージのシャネル「J12」を持っている人にとっては心強い存在になること間違いありません。
時計修理専門店では、正規のシャネルリペアサービスよりも比較的お得な料金でオーバーホールをしてもらえます。ただし一点、注意が必要なのが、お店によってサービスの品質や技術力にばらつきがあるという点です。
実際のところ、オーバーホールを依頼するよりも前に、その時計職人の実力がどれくらいかを知りたいですよね。目安にはなりますが、国家資格の「1級時計修理技能士」の資格を保有している職人さんは、安心して依頼できるでしょう。
「時計修理技能士」資格は3級からあります。1級は実務経験7年以上がある人が取得できます。または、3級取得後の実務経験が4年、2級取得後の実務経験が2年あるという人も取得可能です。
1級資格保有者の職人さんなら、デリケートなアンティーク・ヴィンテージの腕時計でもお任せできるはず。また、シャネルの「J12」のオーバーホールをこれまで何度か手掛けてきた経験があるというお店に依頼できれば、より安心ですよね。
時計修理専門店の中には、世界的なウォッチブランドや百貨店から時計のオーバーホール・メンテナンスを委託されているところもあり、うまく選べば一生の付き合いになるかもしれません。だからこそ、時計修理専門店はよく見極めて選ぶことが重要になってきます。
ここまで読んでくださった方は、シャネル「J12」のアンティークやヴィンテージ時計をどこで修理すると良いか気になっていらっしゃるのではないでしょうか。おすすめの時計修理専門店を、以下の記事でまとめていますので、ぜひご参考になさってください。
この中でも特におすすめなのが、日本各地から技術力のすぐれた時計修理職人を選りすぐってご紹介する「クラフトワーカーズ」というサイトです。「クラフトワーカーズ」は、職人さんたちと直接交渉して、腕に自信ありと回答した職人さんだけを掲載しているのが特徴です。オーバーホールの技術、費用、納期
クラフトワーカーズを利用すると、オーバーホールの内容・費用・納期の希望に添えると考える職人さんたちからまとめて見積りを受け取ることができます。実際に依頼する前に、複数の候補を見比べて、納得できる依頼先を選ぶことができるから安心ですよね。
シャネルの「J12」はエターナルで洗練されたデザインと、堅牢な実用性を兼ね備えており、一生ものの時計として使い続けることができます。だからこそ、オーバーホールを依頼する際は、本当に信頼できるお店や時計職人さんにお願いしたいもの。
あまり下調べをせずに、適当に見つけた時計修理専門店に依頼してしまうと、かえって大きな故障につながったりすることもあります。大事な時計をずっと使い続けるために、ぜひ今回の記事を参考に、信頼できる時計職人さんと出会ってくださいね。
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