国産時計を代表するブランド、シチズン時計は1918年設立された「尚工舎時計研究所」から数え、100年以上の歴史ある名門時計ブランドです。
21世紀に入り、海外時計ブランドも傘下におさめた同社の概要とオーバーホールにフォーカスして紹介します。
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シチズン時計の前身「尚工舎時計研究所」は同社初代会長だった、山﨑龜吉によって、設立されました。山崎は当時、山崎商店(現在の田中貴金属=ギンザタナカ)の創業者兼店主でした。
シチズン時計の公式HPには山崎が「会社(尚工舎時計研究所)を売りたがっている」という情報を聞いた、ドイツ系商社「シュミット商会」の社員だった鈴木良一が代表の中島與三郎へ融資を依頼します。
最終的に中島は同社(尚工舎時計研究所)を買収します。ただ当時中島はシュミット商会の代表としての職務を兼務していたため、最も信頼していた鈴木を工場管理人(現在のプロダクトマネージャー?)としてシチズン時計へ招聘、その後自身も加わったのです。
社名の「シチズン」は山崎と親交があった当時の東京市長、後藤新平が「より市民に親しまれるように」との思いを込めて名付けたそうです。そもそもシチズンは英語で市民の意味を表しています。
こうして、尚工舎時計研究所は1930年に山崎に加えて、中島、鈴木というシュミット商会で輸入時計部品から時計を組み立てる事業で成功を収めた、ふたりを加えて、「シチズン時計」として新たなスタートを切りました。
シチズン時計を代表するコレクションでは、「ザ・シチズン」や「アテッサ」が有名です。彼らのコレクションは「シンプル&ベーシック」と「素材と独自技術の追及」が目を惹きます。
ザ・シチズンは名前が示す通り同社の中で最もアイコニックなモデルです。厳格な基準を設けたエコ・ドライブムーブメントを採用して、スーパーチタニウム、デュラテクト、クラリティコーティングといったシチズン時計の技術の粋を集めています。価格も現行モデルで77万円からとシチズン時計としては高価格なコレクションです。
「アテッサ」はイタリア語で期待や予感という意味があります。僕のイメージとしてはシチズン時計のヤングジェネレーション・コレクションといったところでしょうか。モダンで、先進的なテクノロジーを取り入れたスポーツモデルです。スーパーチタニウムという同社独自の加工技術を施したチタン素材を採用して、軽量かつ堅牢な仕上げを実現させています。
これ以外にもダイバーズウォッチの「プロマスター」もあり、レディースモデルにも充実したコレクションを揃えた、まさに「市民(シチズン)目線」のブランドです。
シチズン時計はエコDriveを初めとするクォーツムーブメントに定評があります。機械式ムーブメントもありますが、大半のコレクションがクォーツムーブメントです。
そしてこのブランドは時計の部品と製造にかかわるモノの多くを自社で製造完結している点が特徴です。
これは2013年に製造、デザインをグループ内の強化を目指し、グループ内の製造関連会社を「シチズン時計マニュファクチュアリング株式会社」へ再編した事によって一層強化されました。
このことで、ムーブメントの部品製造、ムーブメントの組立て、外装、腕時計の組立てに至るまでシチズン・グループ内で、一貫して作業製造が可能になりました。シチズン時計の自社一貫製造は針や文字盤はもちろんの事、ケース内部の潤滑油に至るまで自社で製造していることが他社との大きな違いです。
シチズン時計ムーブメントはほとんどがクォーツムーブメントです。
そのためにオーバーホールは必要無いと思っている人も多いでしょう。水晶振動子といった動力部のオーバーホールはできません。しかしクォーツ時計でも針を使用するアナログ時計は機械式時計と同じく歯車があり、部品間に潤滑油を注入しているためオーバーホールは必要です。
しかしクォーツ時計をオーバーホールを施し電池交換も行い長期間稼働させても、その後の修理、特に部品が在庫しているのかどうかが心配ですね。実はシチズン時計公式HP上に部品の保管期間が「7年を基準に保管」となっています。
ということはメーカー正規修理メンテナンスでは7年を超えると、部品の在庫や製品次第では修理不可という場合も想定できます。
シチズン時計の正規メンテナンスは「ザ・シチズン」を始めとする一部上位モデルを「シチズンオーナークラブ」として料金が別枠になっています。
オーバーホール料金は シンプルタイプ(電池式/エコドライブ)¥33,000、多針タイプ(電池式/エコドライブ) ¥38,500、機械式は¥44,000から¥66,000です。
またアテッサやエクシードは¥13000から¥21,000となります。いずれも標準料金です。
時計の修理やメンテナンスは、メーカーによる正規メンテナンス以外に時計修理専門業者による修理もあります。後者は店舗型とWEBでの時計修理専門業者に、分かれます。
店舗型の時計修理専門業者を利用するメリットとしては、修理している人の顔を見れる安心感と修理内容をあらかじめ確認してから、作業してくれる点です。しかしデメリットとして、作業料金が都心に立地する店舗ほど高額になる傾向があります。
これは店舗の家賃や人件費は、都心部で高額になる事が大きな理由です。
そのため最近は、WEB専業型の時計修理専門業者が増えてきました。これだと家賃の高い都心部以外で工房を構えてもサービスを提供できます。また地方で工房を持つ、優秀な修理専門業者もWEBによって、都心部の顧客を獲得できるからです。
これらWEBによる時計修理専門業者の一般的な受付方法は、以下の要領になります。
①WEBで時計の基本情報と個人情報を入力、送信。
②確認メールを受信後、概算の料金が知らされ、承諾であれば運送会社より梱包キットが送付されて、時計本体を発送します。
③時計が工房に到着後、改めて最終見積もり知らせる。
④依頼主が了承後、作業開始。修理完了後、宅配便にて返送。問題無ければ完了です。
しかしWEBによる時計修理専門業者は前述にある、手続きの煩雑さがデメリットして挙げられます。複数の業者に見積もりをする場合は当然、それぞれの業者へ手続きが必要です。また誰が修理するか不安という声もあるでしょう。
僕もかつて過去記事のような、修理見積りをした事があります。その業者は店舗を構えて、WEBと店舗双方で受託と修理作業する業者です。金額的にも満足しましたが、普段あまり行かないエリアだったため、依頼しませんでした。
家の近所に良心的で優秀な時計修理専門業者がある人は例外ですが、意外に修理業者の店舗へ脚を運ぶのは簡単でありません。「近いうちに」と思っているうちに数か月経過するのがオチです。
家族への気配りも日常生活では忘れてはいけません。腕時計収集は結局のところ趣味、家族持ちの人が「趣味のためだけに出かける」となると、家族からの理解を得るのは、難しいと思います。
それに対しWEB時計修理専門業者は宅配便で時計の持ち込みと返却ができます。貴重な休日を家族と過ごせて現実的ですね。
しかし前述に書いた、デメリットも気になります。
以下の記事では、おすすめの修理専門店を紹介しています。
とくにおすすめなのが記事一番下で紹介しているクラフトワーカーズです。他のWEB時計修理専門業者との決定的な違いは、異なる場所で工房を持つ時計職人のプロフィールを見て、指名できる点です。これにより誰が作業するかわからない不安を解消できます。
まとめて見積もりを利用すれば、わずか3ステップで複数の職人への一括見積もりでき、煩雑な手続きも要りません。一括見積で時計職人を決定し、
登録されている時計職人は国家資格保持者や大手時計ブランドで時計職人として従事していた人です。これまでの修理実績も分かることで、納得のいく修理依頼ができます。
また、修理終了後1年間の動作保証が設けられていますし、交換パーツがあったさいむシチズン純正パーツを使ってくれますのでおすすめです。
シチズン時計は独自の技術開発で100年以上の実績があり、時計造りに真摯に向き合ってきた時計ブランドです。
ただ、低価格ゆえ部品保管期間が7年と短い点は気になります。メーカーに部品が無い時、時計修理専門業者は、不具合を見つけても部品を全て交換という事はありません。古い部品の見極めや部品自体の修理もできます。
この機会に是非良い時計職人と出会ってください。質の良いオーバーホールを体験してみてください。
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