フォルティスは1912年スイスにて創立したブランドです。創立者、ヴォルター・フォグトは当時若干29歳という若さで、このブランドを立ち上げました。
創立時からこのブランドが拘ったことは実用性です。まず1922年から、自動巻時計の量産に成功します。そして産声を上げたばかりの航空機用時計に注力していきます。
実機は伝統のパイロットウォッチを中心にクロノグラフも多くラインナップされています。
程良い重量感から来る良質な質感、機能満載でありながらケース厚みを極力抑えた、仕上げが特徴です。カラーリングもシックな色合いの文字盤やケースの中に鮮やかなオレンジの針を使い、1970年代を彷彿させるポップな雰囲気に仕上げています。
近年大手メーカーは保証期間を5年以上に設定しているブランドが多いですが、フォルティスのメーカー保証期間は2年です。
そのためでしょうか?フォルティスはオーバーホールを正規店にて実施した後の保証期間を2年に延長しています。また正規オーバーホール(OH)後4年以内のOHは料金を10%割引の特典があり、正規OHを推奨している事が特徴です。
しかし、店舗によっては当該販売製品以外の修理受託ができないと、フォルティス公式HPに書かれています。
そのためOHやメンテナンスは正規店舗以外の修理業者を見つけておく方が安心です。またフォルティスの販売ネットワークは少なく限定されています。
正規ネットワーク以外の修理メンテナンス業者の方が店舗数も多く、ユーザーさんの転居等で、購入店舗に行けなくなった場合でも安心して修理依頼が可能ですね。
一度でもメーカーの正規OHやメンテナンスに出したことがある人はお分かりでしょうが、メーカーでの正規OHは修理専門業者より費用が掛かるケースが多いのです。これにはさまざまな理由があると言われています。
代表的な理由として、メーカーでの正規修理の場合高くなる理由のひとつに国際保証がつくことが挙げられます。これは正規修理後、保証期間内の不具合が発生した場合海外での系列店においても日本国内同様の補償を受けられるサービスです。
ロレックスをはじめとする多くの時計ブランドで採用されている補償サービスで、長期間日本を離れていても世界中で補償を受けられるサービスです。
しかし、海外に1年以上長期赴任するようなことがない限り、あまり必要の無いサービスだと僕は思います。
もう一つメーカー修理で、「強制修理」がある事も修理費用が高くなる要因です。強制修理とは依頼者が意思にかかわらず、修理することです。代表的な事例としてはロレックスでの「トリチウム針」強制交換があります。
これは夜光塗料にトリチウムという放射性物質を使用した針を新しい「クロマライト」仕様の針へ強制交換される事です。トリチウムを用いた夜光塗料が現在ロレックスでは採用されていない事から、トリチウム針が使用に耐えられないとメーカー判断されると、通常交換作業となります。
この強制交換の問題点は「針のみの交換」になる事です。針だけを最新の「クロマライト」交換しても、文字盤は元の「トリチウム」のままで、交換後の夜光塗料の光り方に著しい、違いが出てきます。
ロレックスに限らず多くのブランドの正規OHやメンテナンスでは部品の強制交換を良く聞きます。更にこの強制交換の問題点は交換を承諾しないと、OHそのものも受付無いことです。
この事が正規OHやメンテナンスの料金が高くなる大きな要因と僕は考えます。
このようにメーカーの正規メンテナンスはユーザーの意向や希望を受付て貰えない事があります。正規メンテナンスを受けると買取価格は高くなる事はメリットですが、外観に関わる作業はユーザーと相談の上で、作業をして欲しいですね。
メンテナンスや修理で、メーカーの正規修理を選択する理由の一つに「メーカーでの修理」という安心感と、前に書いた売却額がアップするためでしょう。
フォルティスの日本における、正規メンテナンスは日本代理店のメンテナンス部門が担当しています。スイス本国より正規部品を輸入して、日本とスイスそれぞれの有資格者が修理を実施します。
フォルティスの日本代理店「ホッタ」の技術者は皆「一般時計修理技能士」またはスイス公認「WOSTEP」の資格取得者です。これら有資格者が修理すると言う事は、ほかのメンテナンス修理業者同様に有資格者が修理を担当します。
つまりフォルティスではメーカー正規修理店と街中での時計修理業者の技術者も資格内容では差が無く、時計修理業者でも安心して、修理へ出せます。
かつて正規修理は純正部品を使用できるメリットがあると、言われていましたが修理専門業者でも純正パーツの入手は可能です。またフォルティスの場合正規店ネットワークが関西だと5店舗しかありません。
またフォルティスは基本マニュファクチュールですが、ETAのムーブメントを搭載しているモデルも多くあります。ETAのパーツは全世界共通といえるムーブメント会社で一部旧いモデルの部品以外は入手可能です。
かつてはスイス一部ブランドでは自社パーツの流通を制限していた時代もあったようですが、自由貿易の現代においてはそのような行為はご法度でしょう。これは時計業界全体に言える事ですが、自社だけで全ての製品メンテナンスを行う事は不可能です。
メンテナンス業者はフォルティスにとっては部品を買ってくれる「お客様」でもあります。部品を提供しないことはなかなか考えづらい事ですね。
さていざ、メンテナンス専門業者を探すとなると簡単には見つかりません。私の以前の記事 SEIKO5のオーバーホールしてもらったがトラブル発生にありますが、僕も数年かけてやっと近くのメガネ屋さんでSEIKO5のOHを完了できました。
しかし今思えば、クラフトワークスを知っていれば、違った展開になったと思っています。クラフトワークスの良い点は「まとめて見積り」と「職人さんのプロフィール」欄を確認してから作業依頼できる点です。
「まとめ見積り」とはクラフトワークスに登録している時計職人へ、依頼する時計の製品情報と修理依頼内容をWEB上から送信し、返信が来た職人の中から作業依頼する時計職人さんを選択できるシステムです。
私が経験したような大阪市内の修理店を巡る事も必要ありません。自宅周辺にメンテナンス業者さんが見つからない場合でも、このシステムを利用することで、依頼できるメンテナンス業者がすぐに見つかります。
「職人さんのプロフィール」では実際に作業依頼する時計職人さんを自身の目で確認できます。プロフィール欄にこれまでの実績、職人さんの個々のアピールポイントが表記されている事で、納得してメンテナンス依頼できることが最大の特徴です。
そして何より日本全国どこでも宅配にて受付できます。業者選びに困るエリアの人でも、都市部と同じ高い品質のサービスを受けられる事はクラフトワークスの優れたところです。
こちらの記事の一番下で紹介していますので、合わせて参考にしてみてください。
フォルティスはHP上では並行品に対して、正規修理の受付を拒否する、いわゆる「並行差別」は明記していません。しかし、当該店以外の修理を受付無い店舗もあると記載されているため、全く差別が無いとは言えません。
時計のメンテナンスで実は一番難しいのは、業者選びです。更に業者を選んだ後の修理内容をどのように進めるかも悩みのタネになります。
僕は基本的にはメーカー修理では無く、信頼できるメンテナンス業者に任せる方が安心だと考えます。理由はほぼ全てのブランドの修理の対応が可能であるからです。最近は複数のブランドを所有している人が増えています。
かかりつけのお医者さん感覚で自分が持っている時計全てを任せられる職人さんの方が、自分の考えを理解して貰えるからです。
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