“欲しいブランド時計ランキング”で常に上位に入るフランスの王室御用達ブランドのカルティエですが、その中でも特に人気が高いのが、タンクシリーズです。
では、そのタンクとはどういった歴史があるのか?どんな種類があるのか?どんな芸能人や有名人が愛用しているのか、価格帯はどうなっているのかを詳しくご紹介します。
創業者ルイの息子アルフレッドとその息子達であるカルティエ3兄弟
(左から次男ピエール、長男ルイ、アルフレッド、三男ジャック)
フランス人の宝石細工師であったルイ フランソワ カルティエは、師匠のアドルフ ピカールからパリのモントルゲイユ通り29番地のジュエリー工房を受け継いでカルティエを創業しました。
ルイの宝石細工の高い技術力は評判を呼び、次第に王室や貴族の顧客を虜にしていきました。
その後、ルイの息子アルフレッド、そして孫のルイ、ピエール、ジャックの尽力により、パリ、ニューヨーク、ロンドンに店舗を構え、世界各国の王室御用達になりました。
中でもイギリスのエドワード7世はカルティエの事を“Jeweller of kings , king of jewelers.(=カルティエは王の
宝石商であり、宝石商の王だ。)”との言葉で賞賛しました。
1917年、第一次世界大戦中、世界各地で戦局は激しさを増し、フランスのパリではアメリカ、フランスを含む連合軍対ドイツ軍の戦争の舞台となっていました。
そんな中、アメリカ人のジョン パーシング総司令官率いるヨーロッパ派遣軍が連合軍に加わり、彼らは当時、誕生したばかりのルノー社製の最新鋭のタンク(=戦車)に乗ってドイツ軍を鎮圧し、パリはドイツ軍から解放されました。
カルティエの創業者のルイ フランソワ カルティエはジョン パーシングの活躍を讃えた上、もうこのようなひどい戦争が起こらないようにとの平和への願いを込めて、あえて戦車の形からインスピレーションを得たタンクを開発し、ジョン パーシングにタンクウォッチを贈りました。
その後、1919年にカルティエはタンクを発売し、数々のタンクシリーズを誕生させました。
当時、腕時計は丸い文字盤が主流でしたが、カルティエはそんな概念にとらわれず、革新的な四角い文字盤のタンクを世界に打ち出していきました。
腕時計の歴史の中では、カルティエが無かったら、この世に丸い文字盤以外の時計が発明されていなかったかもしれない…とも言われています。
ケースとベルトが一体化した流れるようなフォルムは見事としか言いようがありません。
とある作家は世界中の戦車が全てカルティエのタンクだったら、世界はもっと平和だっただろうに…との言葉も残しています。
では、誕生した歴史が古い順からご紹介していきます。
(1922年~/¥966,600~)
現在製造中のタンクシリーズの中で、タンク誕生時のプロトタイプに一番近いモデルで、創業者の名前を冠している所からもカルティエにとってこの時計には特別な想いが込められている事を意味します。
時計の外観が18金イエローゴールド(または18金ピンクゴールド)にベルトがキャメル(またはブラウン)の
アリゲーターベルトがあしらわれていて、気品と優雅さを兼ね備えたワンランク上の高級感を演出してくれます。
現在、18金ホワイトゴールド製のタンクルイカルティエは製造数が少なく、レアモデルとなっています。
ベルト部分はアリゲーター製のみの製造です。タンクルイカルティエはスーツなどのフォーマルなスタイルに合います。
バスキュラント(=反転するという意味)は、文字盤が回る画期的なデザインです。
誕生当時、ガラスは現在と比べてまだまだ弱かった為、時間を見ない時は反転させてガラスが割れないように文字盤を守りました。
スポーツ時にも使え、芸術性と実用性を併せ持った時計と言われていました。
現在、生産終了となっている入手困難なモデルになります。
(1989年~/¥1,123,200~)
1921年に発明されたタンクサントレの流れを汲むモデルで、文字通り、アメリカ版のタンクという名前です。
タンクアメリカンの特徴は、長方形の文字盤である事と、腕に沿うようになだらかなカーブを描いている事です。
一見するとわかりにくいかもしれませんが、タンクアメリカンを側面から見てみますとケースが湾曲していると同時に、付随するガラスも湾曲している上に、ケースよりガラスが盛り上がった造りをしています。
これは高い技術がなせる職人技です。
タンクアメリカンは着ける人の大胆さとエレガントさを演出してくれます。
タンクアメリカンは大変シンプルなデザインでありながら、とても奥深い時計ですので、この時計はフォマールなスーツスタイルに非常に映えます。
タンクアメリカンは現在、18金ホワイトゴールド、18金ピンクゴールドの展開のみで、18金イエローゴールドモデルは製造されておらず、貴重です。
ベルト部分はアリゲーター製モデルと、18金モデルがあります。
時計サイズは豊富でミニ、SM、MM、LM、XLとなります。
(1997年~/¥359,100~)
フランセーズとは“フランス”を意味し、フランス版のタンクという事です。
ケースとベルトが一体化したデザインで、ベルト部分はキャタピラを模しており、まさに戦車を彷彿とさせます。
ステンレス製は艶消し加工をしているので、上品で隙を与えないフォルムはフォーマルな場面にもカジュアルなスタイルにも気品を添えてくれます。
タンクフランセーズは現在、ステンレス製のみの製造していますので、18金モデルはとても貴重です。
サイズは、SM、MM、LMでになります。
今は作っていませんが、過去に製造されたタンクフランセーズのクロノグラフモデルもレアです。
時計好きな男性はクロノグラフファンが多いので完売した今も探してる人多いんではないでしょうか?
(2004年~/¥264,600~)
タンクソロのソロとは“自立”を意味し、自立しているアクティブで上質さを追求する人にお勧めです。
タンクソロはタンクフランセーズより全体的に大きく、文字盤はフラットになっています。
シンプルな文字盤が時計の深みを際立たせており、カルティエの伝統を感じさせるデザインとなっています。
シャープなフォルムですので、スーツなどのフォーマルなファッションにマッチします。
素材はステンレス製と18金ピンクゴールド(裏蓋はステンレス)の2種類です。
2016年に、生産終了になった18金イエローゴールド(裏蓋はステンレス)は入手困難です。
サイズはSM、LM、XLの3種類になります。
(2012年/540,000~)
アングレーズとは“イギリス”という意味です。
カルティエの歴史の中で、カルティエ3兄弟がパリ、ニューヨーク、ロンドンに店舗を構えた頃から徐々にカルティエの評判が広がり、その人気は不動のものとなりました。
その店舗のある都市名を冠した“タンクフランセーズ”、“タンクアメリカン”は存在しましたが、2012年、イギリスにちなんだ“タンクアングレーズ”がロンドンオリンピック開催も記念して、ついに誕生しました。
現代的な時計の大きさと、丸みを帯びたフォルム、そしてリューズがケースの中に埋め込まれた斬新なデザインの中にも、カルティエの伝統的なローマンインデックスなどが盛り込まれているのが特徴です。
今までのタンクとは少し異なり、流麗な丸みが優しさを帯びていいて、ビジネスの場には勿論、パーティーシーンも華やかに彩ってくれます。
(2013年/¥745,200~)
針を動かしている機会の事をムーブメントと呼びます。
基本的時計のムーブメントは他社製のものを使うのが一般的です。
例えばオメガの時計でも中のムーブメントがスウォッチ社の物だったり、ハミルトンの時計もムーブメントがETA社という物だったりします。
ですが、タンクMCはタンクシリーズの中で初めて自社製ムーブメント“マニュファクチュールキャリバー1904MC”を搭載したモデルである事から、カルティエの意気込みを感じる、ダイナミックさと奥深さを兼ね備えたメンズウォッチです。
時計ファンは自社製のムーブメントを開発してこそ時計を作ってるとよんでよいブランドとまで言います。
タンクMCはオン、オフどちらでも使える時計です。フォーマルなビジネスシーンにも、ラフでカジュアルなファッションにもアクセントに
なる時計です。
サイズはLM、クロノグラフの2種類です。
素材はステンレス、18金ホワイトゴールド、18金ピンクゴールドです。
ベルトはすべてアリゲーター製です。
タンクMCはカルティエオリジナルのムーブメントを使ってる事もあり、時計ファンからも注目されている時計です。
世界ではタンクウォッチを愛用したり収集する人々の事を“タンキスト”と呼びます。
タンクウォッチを着けているジャクリーン ケネディー オナシス夫人
他にも世界のタンキストには
など多数います。
中でも、芸術家のアンディ―・ウォーホールは大のタンキストとして知られ、
“タンクウォッチを使うのは、時間を見るためじゃない。
身に着けるのに最高の時計だから使っているのさ。
その証拠に、僕はゼンマイさえも巻かないんだ。”
という言葉を残し、タンクの美術性や芸術性の高さを絶賛していました。
日本の有名人にもタンキストはいます。
その一部の方々をご紹介しましょう。
※名前の後ろのカッコは商品番号です。(順不同、敬称略)
タンクフランセーズ
タンクMC
タンクルイカルティエ
中谷美紀(ドラマ『私、結婚出来ないんじゃなくて、しないんです』内で着用/W1529856)
タンクアングレーズ
米倉涼子(ドラマ“ドクターX”内で着用/W5310006)
中古品を購入する場合、アフターメンテナンスなどの保証はその買った店舗で受ける事になり、正規のカルティエブティックでは保証が受けられないケースもあります。
中古品のカルティエを購入するのであれば、売りっぱなしではなく、購入後もしっかりアフターケアをしてくれるお店です。
せっかく一生モノの時計を買うのですから、時計購入時は価格を重視するのではなく、買った後も手厚い保証が受けられるかどうかをポイントに置かれると良いと思います。
オメガとシャネルの時計を売却しようと、東京の買取り販売店を回っている時に、一番販売されてたカルティエのモデルが
カルティエ CARTIER タンクソロ 【新品】 時計 でした。
カジュアル雰囲気ではないですが一目でカルティエの時計だと分かるしベーシックなデザインなので年齢をきにせず使えますよね。
カルティエの時計は魅力がありますがメンテナンスに、お金がかかります。
買ったら満足してしまいアフターケアを忘れてしまう人が多いですが、4、5年に1度はカルテェイの正規コンプリートサービスか時計修理工房でオーバーホールをしなければオイルの蒸発により、ムーブメントパーツの摩耗に繋がります。
詳しくコチラの記事カルティエのコンプリートサービスとは?本当に正規店がいいの?オーバーホールでは駄目?に纏めていますので参考にしてみて下さい。
2017年でタンクシリーズは誕生から100周年になります。
基本のデザインは誕生時からほぼ変わっていませんが、タンクシリーズの中には、生産終了や復活を繰り返しているモデルが数多くあります。
『人気が無いから、生産終了になったのかな…。』と考えられるのが一般的ですが、カルティエの場合、そうではありません。
人気があろうとなかろうと、カルティエはその時の気分で人気商品を生産終了にしたり、また復活させてみたりする、少し独特な考え方を持っています。
もし、あなたがタンクシリーズに憧れていて、『でも、定番商品だから、いつでも買えるわ…。』と思っていると、いつの間にか生産終了になっていて、入手困難に陥るケースが多いのも事実です。
欲しいと思ったら、勇気を出して手に入れて、少しでも長い時間をタンクと共に輝ける時間を刻んでいって頂きたいと思います。
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Comment
大変役に立つ記事でした。
タンクを買おうと思っていたのですが、どれがいいのか決められず困っていました。
ありがとうございます。