10気圧の腕時計は手洗いや洗顔、雨が当っても問題ないレベル。いわゆる生活防水以上になります。10気圧なので水圧100mまで耐える事のできる、防水性の高い時計って事かな?って思ってしまいますよね。
実はそうでもありません!
この勘違いが故障のトラブルに繋がる事が多々あります。
10気圧とは100mの水圧に耐える事ができると言う事で、100mまで潜っていても問題ないって意味ではないんです。
詳しく説明します。
深さ2mのプールに10気圧防水の腕時計を装着して飛び込んだとします。
通常10気圧防水の時計であれば深さ2mは耐える事のできる時計です。問題なさそうですよね。しかし実際は壊す人が結構多いです。
その理由は飛び込んだ時や、腕を水中で振った時の水圧です。
腕を動かさなければ、さほど水圧はかかりませんが、【ジャボーン!バシャーン!!】と激し動きをすれば、それだけ水圧が時計にかかってしまいます。
つまり、深さは2mでも使い方によって時計にかかった気圧は0.2気圧ではないという事です。
ゆーーっくり時計を沈めるのと、激しい勢いで時計を沈めるのでは水圧のかかり方が違いますよね。
10気圧防水は水中100mでも動く時計ですが、ゆーっくり海の底100mまで潜っていく人なんて東京湾に沈められた人くらいです。
ちまみに東京湾に沈められたとしても、時計は沈む水圧が掛かるので水中100mまで達する前には壊れている可能性が高いです。
10気圧防水とは時計が瞬間的に100メートル底の水の中に移動して、1cmも動かかなかったとしたら。動いていられると言う事です。
実際にはそんな状況はあり得ないので、現実的ではないです。
10気圧防水時計だけではなくて20気圧の時計でも気をつけて欲しい事ですが防水性の強い時計を着けてお風呂に入ったり、シャワーを浴びる人が居ますよね。あまりお勧めしません。
防水の時計は確かに水に強い時計なのですが、シャワーや車を洗浄などには向いていません。
上のプール話のように、【ジャボーン!】や【バシャ!バシャ!】といった水との強い接触で時計の中に水が入ってしまう事があります。
10気圧の時計を所有している人からすると100m水中に潜れる時計が、なんでシャワーで壊れたんだ!?って思いますよね。
10気圧や20気圧とは【じゅわぁぁぁ】といったゆっくりな水圧には強いですが、瞬間的に【バシャッ】っと水圧が掛かったりすると、時計内に水が入ってしまう可能性があります。
こちらの記事にも書きましたが、こうして水が時計内部に入ってしまいますとカラス内側が曇ったり凍結してしまします。
時計のガラスが凍結してしまった場合に、タッパーと乾燥剤を使った初期の対処法を纏めてありますので気になる方は参考にしてください。
お風呂に防水時計が向かない理由は他にもあります。
それがお湯です。
腕時計にはムーブメント(時計内部)に水や湿気が入らないようにパッキンと呼ばれるゴム製のパーツが使われています。
パッキンが使われてる部分は時計の裏蓋と、時間を合わせる突起部分のリュウズ、ガラスに使われています。ストップウォッチ機能がついた時計だとクロノボタンにも使われています。
どの部分も時計内部に直接通じる大切な場所なので、水が湿気が進入するのをパッキンが防いでいます。
しかし、お風呂に時計を入れてしまうと、お湯がパッキンにかかり熱で変形してしまう可能性があります。パッキンはゴム製なので熱に特別つよい物ではありません。
こうなると本来のパッキンの役割ができなくなり、水や湿気が時計内に入ってしまう事になります。
お風呂に関した事だけではありませんが、お湯との接触は避けた方がよいです。
お風呂では、シャンプーや洗剤が一番危険な理由です。
パッキンはゴム製なので洗剤などが付着すると化学変化がおきて、ゴムの弾力が無くなる事があります。
この状態になると液体が時計内にはいるきっかけになります。
お風呂に時計を着けていくの事は故障の原因になる事が多いですので勧めしません。
腕時計を洗いたい場合は、おけのなかに水をためて、ゆっくり洗ってください。
少しお風呂の話で脱線しましたが、ここまで説明してきたとおり、防水時計は水との接し方、気をつけなければ、時計内部に水が入ってしまいます。
プールに行ったときも平泳ぎのような動きだと問題ないかと思いますが、クロールなど激しい動きはバシャバシャと水が時計にあたるので良くないです。
泳ぎ方や遊び方で、だいぶ変わると思いますが、10気圧防水時計でもプールや海で水が入ってしまい、壊れる事が結構ある という事を思えていて下さい。
また時計をつけたまま海で泳いだ場合はしっかりと海水を洗い直して乾かす事も重要です。
海水が付いたままになってると、時計の細かい汚れに塩分が付着して錆の原因になってしまいます。
こちらの記事では私の時計を使い錆びやすい場所や気おつけるべき事の説明しています。
実際にけっこう錆びてしまっていますので、こうならない用に気をつけてください。
時計の錆は、ほっとくとドンドン進行する。
防水時計でよくある壊れる原因はパッキンの劣化や時計の隙間に錆があり、その錆の隙間から水が入る事です。
こういった事が起きないように、腕時計は定期的にメンテナンスをします。
パッキンはゴム製なので時間とともに、必ず劣化します。
錆びにくいステンレスでも汗や垢などが付着していたら、そこから少しずつ錆びていきます。
大事に長く使う時計でしたら4年から5年に一度オーバーホール(分解点検掃除)を行い劣化したパーツを交換してもらいましょう。
オーバーホールは時計を分解し、洗浄を行い、パーツに劣化が無いかチェックを行います。
その後オイルを刺し再度組み上げ直します。
劣化したパッキンや、摩耗がある歯車があった場合、新しいパーツと交換します。
時計屋や修理工房ではこの交換パーツを純正メーカーのパーツ以外の物を使う所もあります。
何故かというとパーツの仕入れ値が圧倒的に安いからです。
ロレックス、オメガ、ブライトニングなどの海外製の時計パーツは輸入するのが手間ですし、そもそも仕入れ金額が高いです。
ですので、時計修理工房の中では金額の高い純正のパーツではない、代用パーツやジェネリックパーツを使い修理やオーバーホールを行なってしまいます。
何故こんな事をしてしまうかと言うと、オーバーホールの値段を、お客さんから安く承るので掛けられる金額も削らないといけない訳です。
純正パーツでも、代用パーツでも問題無いって方でしたら良いですが、正規パーツを使い交換してほしいって方も当然いますよね。
この記事にも書きましたがオーバーホールは安さを売りにする時計店がありますが、リスクもあるので注意が必要です。
正規品の時計を購入しても、純正の部品意外を使って修理やオーバーホールをしてしますと(特に文字盤)、ロレックスやフランクミュラーでは、正規品の扱いをされなくなってしまいます。
時計は精密機器で、メーカーは最適な設計を行い最適なパーツを開発して時計に組み込みます。
それを純正ではない部品を使ってしまっては、後に負荷がでるかもしれないので保証をしないという考えなのかもしれません。
オーバーホールでは純正品のパーツを使う時計店で頼ぶ事をおすすめします。
(安い)を売りにする修理工房の注意点はもう一つ有ります。
それは、時計の技術士ではない素人が分解する可能性が有るからです。
たまにあるトラブルの原因ですが、オーバーホール後に時計の針や外観に細かい傷が付いてしまう事があります。
最悪の場合、4年後のオーバーホールで裏蓋を開けてみたら、ムーブメントが傷だらけで、指摘されるという事もあります。
この場合もう保証期間をすぎてしまうので、後の祭りです。
こういった事は一部の技量が足りない修理工房で起こるトラブルです。知識やノウハウを持つ修理技士が分解掃除を行なった場合こんな事にはなりません。
しかし、私達お客としては、どの店が技量があるのか分かりづらいです。
日本では国家資格である技能検定制度の一種で時計修理技師試験を用意しています。初めてオーバーホールに出す修理工房であれば時計修理技師の資格がある人にお願いする事をおすすめします。
こちらに、時計修理技師一級の方が分解をしている私のおすすめの修理工房を纏めてありますので、オーバーホールが必要な場合参考にしてみてください。価格もメーカーより2万円以上は安いです。
この記事が役にたてばシェアして下さいpublic
Comment