一般的な機械式時計の部品数はどの位あると思いますか。
目安として自動巻の機械式時計ではおおよそ100個を標準と考えると良いでしょう。
僕が個人的に所有しているムック本でロレックスを完全分解した特集記事が掲載されていました。
その記事の部品数を自分で数えたところ109でした。またネット上でも機械式時計の場合100個が標準という意見が多数です。
しかし実際に部品数はブランドによっても、各社に差があります。また部品数自体も公式に発表していないブランドもあります。現在ムーブメントの部品数を発表しているブランドはパテック・フィリップ、ゼニス、ブレゲ、ジャガールクルト、ヴァシュロン・コンスタンタン、オーデマピゲ、ウブロがHPで公表しています。
ロレックスは部品数を公表していません。私的な意見ですが、マニュファクチュールでプレステージブランドと呼ばれ、コンプリケーションウォッチを製造しているブランドは部品数を公表しているのでは、と思います。
現在はほとんどのブランドで自動巻きが主流のムーブメントとなっています。
少数派となっている手巻きです。定期的にリューズを巻くことが手間という人も多いですが、ケース厚みを抑えれられることで選択する人がいることで名門パテックは手巻きの現行モデルをラインナップしています。
シンプルさを追求したモデル、カラトラバには7つのコレクションが用意されています。
カラトラバと人気モデル、ノーチラスとアクアノートに搭載されたデイト付ムーブメントです。
29モデルに採用されている主流のムーブメントになります。こちらの部品数は217もある優れものです。
パワーリザーブは45時間という標準的なモデルですが、部品数を多くしていることはそれだけ、精度に拘っている証だと思います。
パテックフィリップ・ノーチラス Ref.5711/1A-010
パテックフィリップには珍しいクロノグラフモデルに搭載しているムーブメントです。
しかしただのクロノグラフではありません。パテックのクロノグラフモデルはタキシードが似合う、ラグジュアリーでエレガントな機械式時計です。
ムーンフェイズを始め、パーペチュアルカレンダーを搭載、ミニッツリピーター機能まであるコンプリケーションを極めたモデルと言えます。
モデルで部品数は719です。先ほどの自動巻と比較すると3倍以上の数になります。
パテックではこのモデルはグランドコンプリケーションと位置づけされています。
パテックフィリップ・グランドコンプリケーション5204R-001
パテックフィリップで現行品の中で最も部品数が多いムーブメントが写真の300GSです。
部品数は1366になります。
この時計はポケットウォッチをそのままリストウォッチに変換したような形状です。
47ミリの直径で両面を使用、タイムサイドとカレンダーサイドに分かれています。手巻きでトゥールビヨン以外の機能はほぼ全て備えているモデルです。
完全受注生産で価格は応相談になります。
さて、パテックは、ハイエンドなプレステージブランドです。
そこで人気ブランドだとどうなるか見てましょう。まずロレックスの人気モデル コスモグラフデイトナの場合、どのくらいの部品数なのでしょう。
2020年最新デイトナのムーブメント、キャリバー4130の部品数は201です。ロレックス社はこのキャリバー以前はゼニス社のクロノグラフムーブメント、「エリプリメロ」を採用しています。
その頃よりも部品数を約60%削減して、耐久性を上げています。
一方、オメガスピードマスター・ムーンウォッチコーアクシャルはオメガ自社キャリバー9904を搭載、部品数は368です。
単純比較はできませんがオメガはロレックスと比較して部品数が多く、ロレックスとオメガの考え方の違いが出ています。
ロレックスはHPに書いているように部品数を減らすことで耐久性を向上させるとしています。
現実にゼニスのムーブメントでは335の部品数があった計算になり、現行のオメガのキャリバーとほぼ同じ部品数です。
ロレックスのキャリバー4130とオメガのキャリバー9904は167個以上の差がありこれ自体革新的な開発になります。
しかし自動巻クロノグラフムーブメントはロレックスが自社開発を最も苦労したムーブメントです。
かつてこのムーブメントだけ自社開発できず、ゼニス社のエルプリメロを搭載していた実績があります。
それまでは手巻きクロノグラフしか開発できず、やっと2000年に自社開発に成功したのです。その現行品もゼニス社の設計をベースに開発しています。
開発から約20年ほどしか実績が無く、このクロノグラフムーブメントの数が適性がどうかは判断ができません。
一般的にムーブメントは部品数が多くなると、実用性は良くなります。
しかし部品数が多くなることで、磨耗し耐久性は落ちます。
標準的な自動巻き機械式時計は各社試行錯誤を経て現代の約100個の部品数に落ちつきました。
クロノグラフムーブメントは手巻きから自動巻きに移行する際、メーカーは開発に苦労した、歴史があります。
個人的な意見ですが、やはり自動巻クロノグラフムーブメントはゼニス社のムーブメントが実績も信頼性があり優れていると思います。
ロレックス現行モデル以上にゼニス社のムーブメントを搭載した、一世代前のデイトナが人気あることもその信頼性の証でしょう。
成熟したムーブメント開発ですが、1980年代にコーアクシャルが開発されたように新技術が開発されるかもしれません。
これからも部品数の増減にも注目していきたいですね。
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