時計の修理ではどんな工具や道具を使っているの?

カテゴリ:お役立ち・サポートケア

時計職人さんの、作業台をみると様々な工具がありますよね。

100、200のパーツから成り立つ精密な機会をあれらの道具で分解し整備していると思うとドライバの1本もかっこよく見えてきますよね

自ら時計を分解し修理やオーバーホールを行う人は少ないと思いますが、どのような工具や道具を使っているのか知りたい方は多いと思います。

どのような工具が、どういった時に使われているのか、職人さんに協力して頂き纏めました。

指サック

時計の修理やオーバーホールで使う道具、青い指サック

指サックは主に時計に対して、作業者の指紋や汚れをつけないためのものです。

特に時計のムーブメントに指紋がつくと、人によりますが、なかなか取れない場合があります。

また、リューズの凹凸部に自分の皮脂のような汚れが付くことなんて、絶対におこってはなりません。

指サックをしているとはいえ、長時間使用すれば汚れます。交換を必要とするので、かなり消耗する修理道具となります。

ピンセット

時計の修理やオーバーホールで使う道具、青いピンセット

ピンセットは時計師がドライバーと同様、もっとも使う大事な工具です。

ピンセットは細かい部品を持つことはもちろんですが、先端の形が異なるものを使うことで、用途がそれぞれ違います。

基本的なピンセットで言いますと、通常の形の先端が細いタイプ、ヒゲゼンマイの修正用の先端が極細のピンセットを主に使います。

また、時計師は時計を保護するために、ステンレスや木材など素材にもこだわります。

ピンセットをきっちり整備する、しないで、作業のクオリティーやスピードが変わると言ってもいいかもしれません。

時計師を評価するのに、ドライバーと同様に、ピンセットに注目されることが多いです。

ドライバー

時計の修理やオーバーホールで使う道具、ドライバーセット

大事な道具の一つです。分解掃除のクオリティーはドライバーのクオリティーで決まるといってもいいくらい大事なものです。

ドライバーづくりが時計師が最初に練習するものであると思います。

一般的なマイナスドライバーでも要求事項は多くあります。

時計に合ったドライバーをつくることができるか、練習しなければなりません。また、メーカーによってはマイナスドライバーを工夫していたり、マイナスの形をしていないものも存在します。

オイラー

時計の修理やオーバーホールで使う工具、オイラー

オイラーは油を注油する工具です。

こちらも用途に合わせて、形が異なりますが、工具屋さんで購入したまま使い方も多いと思います。

どこに、どのように、どれくらい注油するか、とても大事なことです。

オイラーにもこだわる時計師もいるかと思います。クオリティのかかわる工具の一つになります。

オイルカップ

時計の修理やオーバーホールで使う工具、オイルカップ

オイルを保管する工具です。

一般的には4種類の油を保管できるオイルカップが一般的です。時計の場合、オイルカップの油を完全に使い切ることなく、新しい油に交換します。

油の管理も技術者にとっては大事な仕事です。

ブロアー

時計の修理やオーバーホールで使う道具、ブロワー

主にホコリを飛ばす工具です。

時計内部にごみが入るということは確実に防がないといけません。

また、お客さんが最もわかりやすいのがダイヤル側のホコリです。修理やオーバーホールに出して戻ってきても文字盤にホコリがあったりしたらガッカリしてしまいますよね。

ホコリは非常に神経を使う仕事の一つだと思います。

例え、見えない位置にあろうと、時計には不具合に繋がり得ます。

時計の技術者であればブロアーやエアダスターを使わないことはないでしょう。

バネ棒外し

バネ棒外しはベルトをケースに止めているバネ棒を外す工具ですが、専用のバネ棒外しを使うという方と、自作する方別れます。

しっかりとバネ棒を外せないと時計に傷がつくことがあるため、扱い方が大事なものです。

剣抜き

時計の修理やオーバーホールの時に使う工具、剣抜き

剣抜きというのは、わかりやすく言うと針抜きです。

時針、分針を短剣、長剣ということがあり、そこから剣抜きとなったのかもしれません。

これもクオリティーと扱い方が大事な道具です。

購入される方と自作する方に別れますが、時計のダイヤルや針の形状を考えると、自作できることも大事なスキルになります。

剣押し

時計の修理やオーバーホールで使う道具、剣押し

抜いた針を取り付ける工具です。

基本的に針と接する部分はプラスチックでできていて、針にダメージを与えないようにできています。針の形状に応じて、使い分けます。

機械台

腕時計の機会台

時計の中身、ムーブメントを保持する工具です。

万能機械台だけでなく、特定のムーブメント専用の機械台も存在します。

万能機械台では保持できないムーブメントもあったり、作業中の事故を防ぐために、機械台の選択は大事なことです。

目打ち台

時計の修理やオーバーホールの時に使う道具、目打ち代、テンプをのせてる

様々な径の穴のあいた、鉄製の工具です。

どういった時に使うなどの決まりはありませんが、何かと便利です。

ベンジンカップ

時計の修理やオーバーホールで使う工具ベンジンカップ

ベンジンカップは、文字通り、ベンジン(石油からつくられた有機溶剤とよばれる液体)を収めるカップです。

シャーレを分厚くし、気密性が、ある程度ある容器になっています。必ず使います。

ライスペーパー

時計の修理やオーバーホールで使うライスペーパー

ライスペーパーはベンジン洗いをしたあとや、超音波洗浄で、残ってしまった汚れをベンジンで洗浄し、乾燥させる時に使用します。ライスペーパーが吸収してくれて、乾燥しやすくなります。

ブロアーを使う人は必ず使うでしょう。エアダスターであれば、ライスペーパーがなくとも、乾かすことができます。

また、ライスペーパーは部品を一時的に置いたり、部品が転がった時など 作業机・マットを汚さないために利用する事もあります。

掃除木(爪楊枝)

ホゾ穴やホゾ、その他手の届かないこびりついた汚れを落とす際に使います。

それだけでなく、こちらもアイデア次第、磨きなどにも使ったりもします。

綿棒

こちらも汚れを取ったりするときに、使うことがあります。

掃除木だと固く、傷がつく恐れがある場合に使用します。ただし、ものによっては、毛がでてくるので、混入注意ですね。

ブラシ(刷毛)

ムーブメント用の馬の毛を使ったものや、ナイロン製の外装用のブラシもあります。こちらも必須工具になります。

タイムグラファー

ロレックスのサブマリーナ ブラックの精度オーバーホル

時計の精度を瞬間的に測定する工具です。

日差はきっちり時間をかけて実測する必要がありますが、その調整の基準としてタイムグラファーが使われます。

最近では中国製のものも出てきていますが、普通に使うことができます。

しかし、精密な調整な可能かと言われると難しいかもしれません。(できないことはないかもしれない)

時計職人が使っている工具のまとめ

時計に限らず工具というものは本来決して安いものではないのですが、最近は楽天アマゾンで安価なものが販売されていますよね。100円ショップなんかでもバネ棒外しや、裏蓋をあける道具が売られている事があります。

しかし、安かろう悪かろうの工具を使うことは、よい選択だとは言えません。

ネジを1本ダメにしただけでも、時計の機能や正確に大きな影響を与える恐れもあります。

また、精度の高い道具は、手入れを行い正しく使えば、20年、30年と長いあいだ使い続けることができます。

技術者から道具を取ったら、何か残るのでしょう。良くできる技術者ほど、道具にこだわり、道具を大切にしています。

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