タイムグラファーはどんな役割をしているか、色々表示されているけど、どんな意味がありどんな見方をしたらよいのかをここでは纏めます。
あまり専門的な内容はできるだけ控え、もしタイムグラファー(その中でも、画像のウィッチエキスパート2について)をお持ちであった場合や時計屋さんがアップしている画像を読み取る際に役に立つような基本的な内容をお話していきます。
ウィッチにはいくつか種類がありますが、基本機能や読み取り方は一緒であるので、ウィッチエキスパート2について、お話しします。
引用元:https://basisspecies.jp/blog/staff-blog/2018/11/16/post_7821/
まず最初に、色付きの線の説明をしていきます。
ここは最も重要な情報です。ほとんどのことを、ここから時計の現状を、瞬間的なものではありますが、知ることができます。
になります。
歩度の単位はs/d、second / day 一日当たり何秒のずれがあるかを示しています。
振り角は角度を示す「°」、これで時計の具合をおおよそ判断できます。全巻で300°前後が一般的です。
しかしながら、時計の機構やメーカーにより違いがあります。
自分で判断せず、経験のある時計屋さんの判断にお任せしましょう。
ビートエラーはms ミリ秒です。
ビートエラーの簡単な説明をしますとテンプ(振り子)の振動の中心点と、テンプを駆動するための力を与えているポイントのずれ具合を示します。
ここがズレるほど、ロスが発生する感覚はわかるかと思います。
ウィッチは音を拾って情報を得ますから、音のずれを認識し、時間でずれ具合を表現しています。0.0msでずれはないことになります。
機械式時計は、テンプをヒゲゼンマイで振動させていますから、文字盤が上の状態で0.0msにしても、竜頭上の状態にしたら0.3ms程度発生することがあります。
ですから、どんな姿勢にしても大体0.5ms程度以下普通です。
時計本体が大きく、音が反響してしまう場合や時計の機構の問題もあるので、ビートエラーの異常かどうかの判断は、プロである時計屋さんにお任せしましょう。
次にアルファベット項目をおはなししましょう。
A:BEAT MODE これは測定する時計に応じて変更することがあるます。
普通、画面にあるようにAut、つまりAutoモードで測定します。一般的な5、5.5、6、8、10振動などのスイスレバー式脱進機(普通、機械式時計といえばこれといってもいいかもしれません)と言われる時計に使われる測定モードです。自動で振動数を認識し、測定してくれます。
オメガの採用しているコアキシャル脱進機のような特殊な脱進機の場合に変更します。
B:BEATS PER HOUR 時計の振動数を示しています。
一般にロービートと呼ばれる時計は18000振動(5振動)、21600振動(6振動)のように表示されます。
画像の時計は28800振動(8振動)の時計を測定していることがわかります。
C:MEAS. TIME (MEASURING TIME) 測定時間をしめします。
何秒間の音を拾い、情報を表示するかを示します。画像では02、つまり2秒ごとに情報を表示します。
技術者の方であれば、この測定時間は長め、10秒程度の時間を使い、測定します。
D:LIFT ANGLE 日本語で、拘束角と呼ばれます。
説明は難しいですが、テンプがアンクルを動かす、または動かされるときのテンプのなす角度を言います。
これは測定情報である、振り角にのみ、影響します。
技術者さんは、おのおのの時計に応じて、これを変更し、正確に振り角を測定します。これはおそらく、技術者さんにしか、わからない情報です。
一般にテクニカルガイドと呼ばれる情報に書いてありますが、あくまで基準です。参考程度にしましょう。技術者さんならば、ウィッチは必要ですが、「よく見る」ことで拘束角を測定することができます。
E:GRAPH. RESOL (GRAPHIC RESOLUTION) グラフの解像度です。
画面に線が表示されていますが、それはウィッチが拾った音のグラフです。
グラフを見ることでおおよその状態がわかります。画面では1となってますが、これは最も低い解像度です。最大で5まであります。
画像では、歩度が-3s/dを、ほとんど水平な線として表示していますが、5とすると右肩下がりのグラフ表示となります。細かな調整のためやビートエラーの調整をするのに使います。
F:TEST MODE これはどんな計測をしているかを表示します。画面にあるような、歩度、振り角などの情報が欲しいときは、STANDARDでいいのですが、ヒゲゼンマイの長さが適正かを調べることができたり、より技術的な目的のために使われるモードです。一般的にはあまり操作はしません。
ウィッチは多くの情報を表示しています。
そして様々なことを理解することができます。スイスの工具であるウィッチですが、20万円ほどするので、個人で持っている方はあまり多くはないでしょう。
また、今では中国製であったり、安いタイムグラファーも存在します。
ウィッチほどの機能はもたないものの、技術者も使っている方がいると聞いたことがあるほど、十分に使えるものです。
いかかでしたでしょうか。多くの機能や役立つ情報を持つウィッチですが、技術者さんは、どのように音を拾い計算され、その表示になっているかを知らなければなりません。
知らなくても作業はできてしまいますが、知っている方と比べると作業のクオリティーは確実に異なるものになるでしょう。
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