時計修理専門店の納期(期間)の詳細をみると3〜4週間と書いてある事があります。
納期3〜4週間と聞くと、時計を渡してから3〜4週間で手元に戻ってくると思いがちですが、実際には1ヶ月、1ヶ月半と掛かる事もたびたびあります。
どうして、3〜4週間が1ヶ月、1ヶ月半と長くなってしまうのか説明いたします。
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よく勘違いされがちですが、時計を渡してからが納期と思ってしまう方が多いですが、そうではなく技術者が着手してからが納期になります。
技術者は時計を受け取っても、すぐにオーバーホールや修理にとりかかれない事があります。
例えば、多くのお客さんがメンテナンス依頼をしていて順番待ちになった場合は時計を渡してから3〜4週間では戻ってきませんよね。
その他にも交換部品の調達が難しくの着手に時間がかかる事がよくあります。
時計は種類やブランドによって様々なパーツが使われています。
オーバーホールや修理では磨耗や劣化したパーツを交換する必要がありますが、全てのパーツを時計専門店が持ち合わせている訳ではありません。必要に応じて時計部品店やメーカーから仕入れる事になります。
しかし、時計の種類によっては交換部品の調達が困難なものがあります。
すぐに調達or在庫があれば着手するのも早いので時計を預けてから3〜4週間で納品される事になりますが、交換部品がなかなか見つからなかったり海外から仕入れる場合は着手まで時間がかかり1ヶ月から2ヶ月かかる事もあります。
最悪の場合は探し続けたけれども、部品が入手できなかったなんて事もあります。最近ではブライトリングのリューズが、なかなか手に入らないと聞きます。
アンティークやヴィンテージのように古い時計の場合は、メーカーで修理部品の製作がされていないので部品の調達がそもそもできないという事もあります。
パテックフィリップやオーディマピゲ、ジャガールクルトなどメーカーが潰れない限り永久に修理を行なってもらえる時計ブランドもありますが、一般的には修理部品の保有期間を決めているところの方が多いです。
ロレックスは長めですが一般的には販売終了してから10年前後まで修理部品を保有しているところが多い印象です。
交換部品が調達できる場合は磨耗や劣化したパーツを新しいものへ交換すれば良いのですが、修理部品保有期間が過ぎてしまいメーカーで部品を作っていな場合は時計職人が必要な部品を1から製作する必要があり時間がかかります。
アンティークやヴィンテージの時計の場合は納期が遅れる事があります。
機械式時計でも手巻きなのか自動巻きなのか、3針なのかクロノグラフなのかなど、時計によってムーブメントが異なり使われてるパーツの量も異なります。
使われる部品の量が増えれば難易度も上がり、作業時間が掛かります。
部品点数は一般的に
と言われており、手巻きより自動巻き、三針よりクロノグラフの方が部品点数が多く難易度が高いとされています。
また、鐘の音数によって時刻を知らせるミニッツリピーターの場合は400~500点の部品が使われていたり、2100年まで日付が合うランゲゾーネの永久カレンダーのキャリバーL952.1の部品点数は556点、姿勢差によっても誤差が変化しないトゥールビヨンの部品点数は700点以上から成り立っていると言われています。
時計によってオーバーホールの難易度が異なるため納期が変わってきます。
オーバーホールや修理は分解し組み立てるだけではなく、一般生活で使っていて正常に動くのかが最も大切です。
例えば機械式時計の場合は手につけた時とちかい動きをさせる、サイクロテスターという専用機器を使い1週間前後連続して全体的な巻き上げや姿勢差を測定します。
オーバーホールは分解掃除をして油差しました。で終わりではなく精度良く正常に動いているか1週間ほどテスト行うため時間がかかります。
ランニングテスト中に問題が起きた場合は、もう一度時計を分解し調整する事になり再度1週間を掛けてランニングテストを行います。
オーバーホールや修理に出した時計が早く戻ってきてほしいのは良くわかりますが、メンテナンスには時間が掛かります。そこには技術者が丁寧な仕事をしていて万全なテストを行なっている為と考えると少しは安心できるのではないでしょうか。
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