機械式時計に興味があり、色々と調べていると(テンプ)という言葉がでてきますよね。
テンプが止まった。テンプの振動が。テンプに磁気が。などなど至るとことで目にする事が多いと思います。
なんとなく分かっているけど良く分からない人の為に、まとめたので参考にしてもらえたらと思います。
機械式時計の時間を刻む速さはテンプによって決められています。時間を刻む速さはを決めているので最も大事な部分になるわけです。
機械式時計にとってテンプは、まさしく心臓部となるとても重要な仕組みで時計の精度は、ほぼこのテンプの善し悪しにかかってると言えます。
テンプと一言でいっても軸の棒テン真、降り座などいくつかのパーツで構成されていますが、最も重要になるのがテンワとヒゲゼンマイの2つになります。
車輪のような円型の金属がテンワで、細い線が渦巻いている部分がヒゲゼンマイです。
ヒゲゼンマイは一般的には特殊合金で作られてテンワは銅と亜鉛の合金で作られいる事が多いですが、ヒゲゼンマイは衝撃による微妙な変形や外部からの磁気の影響を受ける事もあるので一部のメーカーでは自社開発をしています。
グランドセイコーだと自社配合によって開発されたSPRON610というヒゲゼンマイ、パテックフィリップやブレゲは温度変化や磁気の影響を受けないシリコンヒゲゼンマイ、ロレックスもパラクロムヒゲゼンマイ(青ヒゲゼンマイ)などメーカー毎に変わってきます。
ゼンマイは精度を計る重要なパーツなため精密に作られます。製造が難しく高度な技術力が必要とされ世界でも限られた会社でしか作れません。
マニュファクチュール(自社一貫製造)の時計メーカーでもテンプに使われているヒゲゼンマイだけは作れない所は多いです。
自社でヒゲゼンマイを作っている時計メーカーは
になります。
その他、多くのスイス高級時計に使われているヒゲゼンマイは、スウォッチグループの傘下であるゼンマイ専門の会社、ニヴァロックス社の物が一般的で9割の機械式時計に使われてると言われています。
ヒゲゼンマイに至るまで完全自社製作ができる日本のセイコーはもっと評価されても良いのかもしれませんね。
ひげぜんまいは時間を刻む速さはを決めてため一定の速さで広がったり縮まったりしていますが磁気を浴びてしまうとゼンマイが広まる時は遅く、内側に縮まる時は速くななどと動きが一定でなくなってしまいます。
こうなると時間が正確に表せなくなってしまうので、ひげぜんまいが帯びた磁気を抜く「消磁」という作業をしなくてはいけませえん。
ムーブメントを分解しなくても磁気を抜くことができますが、修理専門店やテクニカルサービスで行う事になります。
針が早く進んだり日差がプラスな場合によってはピゲゼンマイが止まって方は一度みてもらっても良いと思います。
こちら価格が安いのに技量は高い修理専門店になりますので気になる方は選考にしてみて下さい。
テンワの中心には軸となるテン真がついていて、このテン真にヒゲを固定する為のヒゲ玉や降り座などの付属パーツが固定されています。
渦巻状に巻かれたヒゲゼンマイの先っぽはテン真に固定されたヒゲ玉に刺さり、もう一方の先はテンプを支えているテンプ受けに固定されたヒゲ待に刺さっています。
テンプは細いヒゲゼンマイの先同士が刺さった半固定状態となり一定周期をもって連続振動するようになります。
ヒゲゼンマイは振り子と同じように、進んだ動きを逆に辿るようにして元の位置に戻ってきます。広がったり縮まったりと回転方向を切替えるますが、この往復運動の周期は一定です。
アンクルというパーツにより供給されたエネルギーを消費しながらテンプが往復する際その揺れ幅の大小にかかわらずヒゲゼンマイの周期は一定となります。
文字で説明するとややこしくなりますので下の動画を参考にしてみてくだいさい。
アンクルは、その形が船の錨ににている事から名前がつけられています錨は英語で(アンカー)と言いアンカーからアンクルになったとされています。
動画のように周期運動によってテンプは規則正しく振動するようするよう調整されています。
一定期間の間にテンプの振動が多ければ多いほど根本的には正確に時間をコントロールできるようになります。
テンプが1秒間に8振動すればテンプの1時間あたりの振動数は2万8800振動となります。
オメガでもロレックスでも機械式時計でしたらスペックに振動数が記されていますよね。
これは一時間にどれだけテンプが振動するかが記されています。
18,000~21,600振動がロービートで28,800振動からハイビートと呼ばれます。
ロービートと呼ばれるムーブメントは重量のある大型のテンプをゆっくりと力強く動かすしますが、逆にハイビートのムーブメントは小型で軽いのテンプと強力なヒゲゼンマイで高速振動させます。
このテンプの振動数は精度をはかる最大の要素となります。
ロレックス、IWC、オメガ、タグホイヤー、ブライトリングなどの高級機は精度の高いものが多くハイビートのムーブメントが採用されていますが、振動数が多くなればなるほどパーツの摩耗が早くなります。
摩耗したパーツはそのままにしておくと精度が落ちたり、その他の箇所に負荷やストレスがかかるので交換する事になります。一概にハイビートの方が優れているとは考えない方がよいです。
いままでは一般的なヒゲゼンマイは特殊合金を使いつくられていますが、近年ロレックスやブレゲなど複数のメーカーではシリコン製のヒゲゼンマイの開発され採用されています。
今後はシリコン素材のヒゲゼンマイが一般的になると言われています。
また、LVMH傘下ゼニスは4年の研究開発によって精度を大幅に高めるムーブメントを2017年に開発しました。このムーブメントはテンプや、ひげぜんまい、アンクルに相当する各機能を一つのシリコンパーツに落としこんだ物で厚さがわずか0.5mmで構成されています。
画像の回りがテンワの役割で、青い部分がヒゲゼンマイ、赤い部分がアンクルの役割をはたすようです。
108,000振動で日差±0.3と従来の機械式時計の10倍の精度がだせる時計です。
ゼニスのシリコンオシレータのメカニズムは機械式時計を新しくする可能性に満ちていると言われています。今後はヒゲゼンマイやアンクルが無い機械式時計もでてくるかもしれませんね。
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