磁気が機械式時計に悪影響を与えるのは知っているけど、どこまで気にしたほうが良いのか分からないって方は多いと思います。あまり神経質になりすぎると疲れてしまいますよね。
この記事では磁気を帯びてるか簡単に確認する方法と、どんな所に注意したら良いか、磁気に強い時計などを纏めました。
磁気を発している製品に時計を置いたり近づけると、磁力を帯びをして時計が狂ってしまうので気をつける様に、と色々な所で書かれています。
時計の取り扱い説明書にも記載されていますよね。
ですがが、私たちの生活の中には携帯電話やスマートフォンやパソコンをはじめ磁気を発しているものは、そこらじゅうにあふれています。いったいどこまで気にしたら良いのでしょうか。
セイコーのホームページには製品と磁気の強さと距離が記載されています。
単位はすべてA/mです。
製品 | 密着状態 | 5cm離れた | 10cm離れた |
---|---|---|---|
スマートフォン スピーカー部 | ~16,000 | ~400 | 0 | 携帯電話 スピーカー部 | ~22,400 | ~1,600 | ~240 | タブレット端末 | ~32,000 | 0 | 0 | ノートPC スピーカー部 | ~8,000 | 0 | 0 | 磁気ネックレス | ~96,000 | 0 | 0 | バッグ留め金 | ~72,000 | 0 | 0 |
引用元:https://www.seikowatches.com/jp-ja/customerservice/gauss/gauss04
磁気を発しているものは身の回りにあふれていますが5cmから10cm話していたら、ほぼ影響は無いとされています。
5cmから10cm離せば基本的には問題ないとされていますがIH調理器は強化耐磁時計でも危険とされています。
わずかな磁気で精度に異常があっては時計の実用性として問題がありますよね。
ある程度の磁気であれば耐えれるよう考慮して時計は設計されています。
どのくらいの磁気ならば耐えられるかについては、日本工業規格が規定しています。
時計の耐磁規格には第1種耐磁時計と、第2種耐磁時計があります。
非耐磁時計
1600A/m1990年基本的に満たされるレベルの値
第1種耐磁時計
4800A/m磁気に5cmまで近づけてもほとんどの場合性能を維持できるレベル
第2種耐磁時計
16000A/m磁気に1cmまで近づけてもほとんどの場合性能を維持できるレベル
1,2の規格を耐えれる時計については”耐磁時計”と表示することができます。
上のマークが裏蓋や、タグ、カタログに記載されていれば耐磁時計です。
左の線が一本のマークは第1種耐磁時計、2本のものは第2種耐磁時計になります。
ダイバーズウォッチは第1種耐磁時計以上の耐磁性が要求されています。その理由は沈没船や海中に沈んだものの引き揚げを行うことを、サルベージ作業などで体を船体に固定して活動するような高い磁力が出ている環境で作業することもあるためです。
機械式時計には多くの金属が使われていますよね。
金属の中でも鉄やニッケルは磁石と接触したり近づかただけなのに磁気を帯びて、一時的に磁石になってしまいます。
機械式時計は様々な金属パーツから成り立っていているので磁気を帯びてしまうと正常な動きができなくなってしまいます。
金属が磁気を帯びることを「帯磁する」と言います。
時計の修理でもピンセットやドライバーが、いつの間にか帯磁している事があり、その工具で時計の内部パーツを触っているうちにムーブメント(時計の内部機械)自体が帯磁してしまうのです。
機械式時計のムーブメント(内部機械)には多くの金属パーツが使われていますが帯磁した時に精度に影響が出る部品は限られています。
機械式時計が磁気帯びのなかで、もっとも精度に影響を与えるテンプのヒゲゼンマイです。
ヒゲゼンマイは蚊取り線香のように円状に巻かれたバネ質のあるパーツです。広がったり縮まったりする伸縮を通じて1秒間に5回から12回ほどテンワという部分を往復運動させています。
往復運動の数は時計のモデルによって変わってきますが、この動きが安定していないと時計は遅れたり進んだりしてしまいます。
ヒゲゼンマイが帯磁してしまうと磁石のほうへは引っ張らる時は動きは速く、逆に磁石と逆方向へは遅く動く事になります。広がったり縮まったりするペースが一定ではなくなってしまいますよね。
その結果テンワの往復運動が不安定になってしまい時計が狂ったり最悪ヒゲゼンマイが伸縮ができなく止まってしまします。
時計の磁力を計測する機械が販売されていますが、詳しい数字をする必要が無いのであれば方位磁針を使う事で、磁気帯しているか確認する事ができます。
磁気に影響が無い所へ方位磁針を起きます。鉄材が入ったテーブルや周りにパソコンやスマホなど磁気を発しているものは置かないでください。
コンパスの針が北を刺し安定した所でゆっくり時計を近づけて針が時計側に動いたら、その時計は磁気帯しています。(写真の時計はクォーツになります)個人的にはオイルコンパスが安定していておすすめです。百均で購入できます。
私たちの生活の中では、いたる所に磁気が存在するので気をつけていても時計が帯磁してしまうことはあります。帯磁をしてしまった時計でも自分では気づかず私生活に問題が無く使えてることがあります。
普段通り使えているのであればあまり神経質にならなくても良いと思います。
問題はどこの部品が磁気帯びしたかによって影響のが変わります。私生活に影響が無いようでしたらそこまで気にする必要は無いと思います。
逆に精度を決めるテンプ付近が磁気帯びしてしまい日差が激しくなってしまった場合は磁気を抜く必要があります。
テンプ付近が磁気帯びしてしまうと一般的には進みがちになります。時計の針が極端に進む傾向にある場合は時計店や修理専門店で見てもらう事をおすすめします。
磁気帯びした時計は1日に15~20秒くらい進むと言われています。
日本工業規格では第2種耐磁時計は16000A/mを1cmまで近づけてもほとんどの場合性能を維持できるレベルとされてます。
しかし、スイスの時計ブランドIWCは1989年、500,000A/mの超耐磁時計を開発しました。この数字は未だ破られていません。実測では3,700,000A/m以上の耐磁性を備えていたとも言われています。
しかしながら温度特性や断続力の不安から1992年に生産終了。わずか2,700本のみの製造になりました。
IWCインジュニアオートマティック500,000A/m SS×YG OH済【中古】
帯磁が気になる人の中には脱磁器を購入してしまう人もいます。
脱磁器はピンから切りまでありますが安いものだと1000円前後で購入ができます
こんな感じのものですねポータブル 消磁器 簡単操作 コンパクト 磁気抜き器
昔に比べ今は磁気に囲まれ生活しています。メーカーも普段の生活を想定して時計を作っているので磁気や耐水性が強く作られています。
そのため最近の機械式時計であれば多少磁気を帯びるくらいであれば、さほど影響ない思います。
しかし50年前のヴィンテージ時計や100年前のアンティーク時計など古い時計は今ほど磁気に囲まれた生活もしていなかったし技術も低かったので磁気に弱いです。注意しながら使う必要があります。
電池式のクォーツ時計はゼンマイが無いので帯磁しないと思われる方も多いですが同じ様に磁気の影響は受けます。
クォーツ時計が磁気帯すると針を動かすためにモーターが正常な動きができなくなります。
磁気による狂いは「止まり」「遅れ」「進み」など様々ですが、機械式時計とは違い磁気から離すと正常どうりに戻ります。
機械式時計のテンプ付近が一度磁気の影響を受けると精度に影響を及ぼし時計が狂ってしまいますので磁気を抜く必要があります。
一般的な時計店でも脱磁器があれば行なっていると思いますが、お近くに時計店が無い場合はこちらがおすすめです。
4、5年オーバーホールを行なっていない時計は、油の劣化やパーツの摩耗が予想されます。脱磁と一緒に分解掃除を行なっても良いかと思います。
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