時計のオーバーホールの意味を少しだけでも知る事ができれば、何処に依頼しても一緒ではないという事がわかると思います。
オーバーホールは技術的な仕事になるので依頼する場所、もっと言えば作業を行う人によって、善し悪しが変わってきます。
時計のオーバーホールはどんな意味があるのか、どんな人に依頼するのが良いのかをまとめました。
オーバーホールとはザックリいうと分解掃除の事です。
時計だけではなく車のエンジンやピアノ、釣りに使うリールなども定期的にオーバーホールを行います。
定期的にオーバーホールを行う事で内部の動きを良いコンディションを保つ事ができ時計を長持ちをさせる事ができます。
人でいえば、人間ドックのようなものになります。
逆に時計に、なんらかの症状が出てきてから、手を加えることを修理といいます。人でいえば手術になります。
簡単な手術であれば特に問題はありませんが、大きな手術になると大変です。
時計も一緒で磁気帯びのような小さなトラブルであれば、なんて事はないですが、内部に湿気が入り続けそのまま気づかず錆びてしまったら大掛かりに修理になるなります。
大掛かりに修理になるとコストが高いし、最悪修理ができなくなってしまうので、定期的に検査を行う事がオーバーホールという事になります。
機会式時計のオーバーホールでは以下のような作業を行います。
オーバーホールは定期的に行う事なのですが、その時計が本当にオーバーホールが必要な状態なのタイムグラファーという機会で歩度(時間が正確にあっているか)を計測します。
適当な修理業者の場合はオーバーホールを行なわなくてもよい状況でも、分解掃除を行なってしまいます。
冒頭で説明したとおり作業を行う人をしっかり見極めましょう。
時計の裏蓋を開けて文字盤と針を外しムーブメント(内部機会)をケースから外に出します。
時計のムーブメントは数多くのパーツから成り立っています。
これらのパーツを1つ1つ外し分解します。
分解と同時で摩耗や劣化が激しいパーツが無いかチェックをしていきます。
摩耗や劣化が激しいパーツ新しい物へと交換されます。
現行品の場合はパーツを仕入れて交換する事が多いですが、アンティークやヴィンテージといった古い時計はメーカーでパーツが生産されていないため、旋盤という機会で技術者が手作りする事になります。
メーカーの部品保有期間になります。
ここでは一部のメーカーしかのせていませんが、部品保有期間はどのメーカーでもおおよそ10年です。
引用:https://craftworkers.jp
分解されたパーツを洗浄カゴにいれます。細かい部品分けて入れます。
分解されたパーツには汚れた潤滑油や細かな鉄粉などが付着しているので超音波洗浄機をつかいしっかり洗浄します。
超音波洗浄機で落としきれなかった汚れは細かなハキとベンジンを使って落とします。
洗浄された部品を組み立て、綺麗な潤滑油を刺し元の状態に復元します。
タイムグラファーを再び使い精度のチェックを行います。
制度が悪い場合は再調整が必要になります。
表示されている水深まで時計が耐えれるか防水テストを行います。
防水検査機のなかに時計を入れて減圧・加圧をおこないガラスや裏蓋、リューズがしっかり密閉されているかをチェックします。
非防水の時計は防水テストは行いません。
巻き上げ機でゼンマイを巻き、決められた時間まで断続して動く事ができるのかをチェックします。
機械式時計は時計の姿勢で遅れ進みが代わります。実際の使用状況に近い状態に近いよう各姿勢でランニングテストを行い最終検査を行います。
不具合があった場合は、再度時計を分解をして調整を施し再びランニングテストを行います。
ここまでがザックリとしたオーバーホールの流れです。
壊れた時計を修理するのは分かるけど動いてる時計に、お金をかけてメンテンスを行う理由が今一つ分からないって方も多いと思います。
例えば、時計は多くの歯車が使われていますが、この歯車を効率よく滑らかに動かすために潤滑油というオイルが使われています。
しかし、潤滑油は時間と共に蒸発や劣化してしまいます。つまり油切れが起きてしまうわけです。
油切れが起きてしまうと、歯車が滑らかに動けないので金属部分が少しずつ擦れて削れていきます。
上の写真は錆びついたムーブメントです。
古びたドアを思い受けべると分かりやすいですが、開け閉めするたびにギィーギィーと嫌な音がなりますよね。あれは油切れを起こしていて金属が強く擦れてしまっているせいです。
時計は小さいので、ギィーギィーといった音は聞こえませんが、油切れが起きているという事は同じ状態にあります。
ドアは1日に10回ほどしか開け閉めしませんが、時計は動力がある限り動き続けてしまうので、知らないうちに部品が摩耗(すり減り)し故障に繋がります。
下の写真は機械式時計に使われてる油です。一つの時計でも柔らかさが異なる多くの油が使われています。
また、時計は汗や湿気から守る為にガラスやリューズ(3時位置についた時間を合わせる突起部分)、裏蓋といった内部に通じる所にパッキンというゴム製のパーツを使用しています。
水筒の水漏れをゴムが防いでいるような感覚です。
しかし、パッキンはゴム製なので、定年劣化をしてしまい防水の役割を果たせなくなってしまします。
古いゴムは、ひび割れていたり引っ張っても弾力性が無くすぐに切れてしまいますよね。
下の写真の節についているのがゴムパッキンです。白く劣化しているところがあります。
パッキンが劣化してしまうと時計内部に湿気や水分が入ってしまい、知らない間に錆びついてしまいほおっておくと故障に繋がります。内部に水が入ってしまうと時計は数日程度で錆びが発生してしまいます。
パッキンや油の劣化は使っていると必ず起こるので4〜5年に1度、オーバーホールをおこない新しい油の刺し直しや、消耗部品の交換、摩耗状況など様々な角度から点検を行うオーバーホールが必要になります。
定期的にオーバーホールを行う事で、致命的になるような大きな故障を未然に防ぐことができるし、時計を万全の調子に維持することができるので寿命を延ばす事ができます。
アナログの電池式時計も防水を維持するためにパッキンを使っていますし、歯車を使い針を動かしているので、5,6年に一度は定期的にオーバーホールを行う事が推奨されています。
時計の修理やオーバーホールを行ってる場所は数多くありますが「どの店に修理してもらうかではなく、誰に修理してもらうかが大事」になります。
本来の時計のオーバーホールは単純に分解し、消耗部品を交換し、注油して、組み上げるだけではありません。
必要であれば歯車の歯や、軸といった細かい部分も丁寧に磨きます。
美しさはもちろんですが、歯を磨く事で金属摩耗を減らす事ができますし、軸を磨くことで潤滑油が劣化しづらいく、もちが良い時計に仕上がります。
つまり、手がけた技術者によっても持続力が変わるという事です。
毎回、腕の良い職人がメンテンスを行なっているのであれば良いのですが、決してそうでないケースもたくさんあり、近年はそういったケースがよく目立ちます。
雑な修理やオーバーホールををされた時計は、一時的には動いているかもしれませんが、すぐに問題が起きてしまったり最悪の場合、メンテンスとはいえない粗悪な作業をされてしまい正常の状態に直す事が困難になってしまうケースもあります。
また、ドライバーのサイズが合わないのに、無理やり回そうとしてネジ山が潰されたり時計に傷をつけられるといったトラブルもよくあります。
時計の修理やオーバーホールは行う人間の知識や技量で善し悪しが決まります。
大事な時計であれば、信頼できる技術者に時計を預ける事をおすすめします。
下の記事では私がおすすめしたい修理専門店がまとめられています。
特に記事の一番下で紹介しているCraftWorkersはおすすめです。
上記で説明してきたとおり時計のオーバーホールは腕のいい技術者に依頼する必要がありますが、依頼側はどの人が確かな知識があるか外見だけでは見てわかりません。
CraftWorkersではどういった時計に関する認定書をもっているのか技術者として何年の経験があるのかなど、プロフィールを確認して直接本人にオーバーホールや修理依頼ができます。
オーバーホールでは一旦時計を預けてしまうと、どういった人間がメンテナンスを行うかわかりませんが、直接本人に依頼ができるので安心できますし、職人本人も自分にきた仕事なので責任をもって取り組んでもらえます。
交換部品があった場合も純正部品を使ってくれますし動作保証も1年間つきます。価格のメーカーより3、4割安くおすすめなのでぜひ参考にしてみてください。
この記事が役にたてばシェアして下さいpublic
Comment