ロレックスといえば高い防水機能を持ったブランドの象徴ともいえるオイスターケースを使用したモデルが有名で、その蔭に隠れがちですがドレスウォッチの分野にも意欲的だったことはあまり知られていません。
しかしながらオイスターケースがまだ登場していないロレックスの創生期から現在まで現行モデルとして進化し続けている稀有なモデルがあります。
その名をロレックスチェリーニといい、ロレックスのラインアップの中では唯一、非防水式ケースを使用したドレスウォッチコレクションとして長い歴史を生き抜いてきたモデルになります。
チェリーニはムーブメントに自動巻き・手巻き・クォーツ式と多彩な種類を使用しているモデルですが、いずれのムーブメントに関しても定期的なメンテナンスは必要不可欠なものであり、特にオーバーホールは必須の作業になります。
すでにチェリーニを所有している方もチェリーニに興味を持ち購入を検討している人にとってもオーバーホールの料金や期間に関しては気になるところでしょう。
ここでは、オイスターケースコレクションの蔭でロレックスの歴史を支えてきたチェリーニのオーバーホールに関する料金・依頼方法・注意点について紹介していきますので、興味のある方は是非参考にして下さい。
ロレックスチェリーニの場合、モデル自体の歴史が長いことから種類の異なるムーブメントが製造時期やモデルによって存在するのでオーバーホールに関しては日本ロレックス正規サポートに依頼するのが一番安心できる方法といえるでしょう。
日本ロレックス正規サポートにオーバーホールを依頼した場合の料金はクォーツ式・手巻き式・自動巻き共に44,000円~、ケースに無垢素材を使用したモデルの場合は74,800円~となっています。料金だけ見ると高額に感じる人もいるでしょうが、一例としてウブロのウニコノーマルケースのオーバーホールが126,000円~になっていることを考えると決して高額ではなく良心的な価格といえるでしょう。
しかしこの料金に関してはあくまでオーバーホールのみの料金になっており、工程の中で部品交換や修理作業が必要になった場合は別途料金が上乗せになってきますので、あくまで目安と考えた方が良いでしょう。
ロレックスチェリーニ正規サポート部品交換料金
パーツ交換料金例 |
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リューズ交換 9,720円 |
チューブ交換 5,500円 |
バネ棒交換 1,080円 |
バネ棒(バックル)交換 540円 |
内部部品交換 5,400円~ |
チェリーニはロレックスのモデルコレクションの中でも特異性があり唯一防水機能を搭載していないモデルになりますので、定期的なメンテナンスが必要不可欠な機種といえ、特にオーバーホールに関してはモデルの製造時期によってムーブメントの種類が違うため、必須事項になっています。
チェリーニには手巻き式・クォーツ式・自動巻きのムーブメント採用モデルがあるためにオーバーホール時期には差がありますが、それでも手巻き式・自動巻きで最低5年間以上稼動している、クォーツ式の場合でも7~8年使用時期が経過したものに関してはオーバーホールが欠かせません。
これだけの期間使用されているムーブメントになると部品の磨耗や痛みが少なからず生じてきますので、日本ロレックス正規サポートにオーバーホールを依頼した場合には何かしらの部品交換が行われるといってよいでしょう。
理由としては日本ロレックスにとってパーツ交換は高利益を生む作業である事や、複雑機能であればあるほど部品交換時期なのか部品を残しておくべきか断が要求されるので、まだ使える部品でも安全策として部品交換を行い、常にベストな状態を保っておく必要があると判断される場合が多いこと、そしてチェリーニの場合には製造から年数の経過しているモデルが多いため、部品交換の確率が高いことも要因として挙げられます。
主にかかってくるパーツ交換はリューズ交換やチューブ交換・バネ棒交換・内部部品交換等があり、さらにチェリーニの場合は部品交換の数が多くなりがちなので、パーツ交換も含めてトータルで考えるとオーバーホールには50,000~100,000円前後の料金になる事を最初から予想しておいたほうが良いでしょう。
そして日本ロレックス正規サポートでオーバーホールを行った場合には技術保証として2年間の修理保証がつきますので、こういったサービスのよさも正規サポートを利用する大きなメリットになります。
チェリーニの歴史はかなり古くからモデルが存在しており、オイスターケース等の技術が発明される前の時期、1928年に初代モデル・チェリーニプリンスが発表されます。
チェリーニプリンスは手巻き式ムーブメントを採用しており、当時としては斬新な角型ケースのドレスウォッチとして大きな人気を呼びました。
その後、チェリーニはさらに洗練されたモデルとして発展し、チェリニウム、ダナオス、チェステロ、チェリーニ&チェリッシマ、クラシックと、あくまで薄型ケースにこだわったドレスウォッチとして独自の歴史を刻んでいきます。
そして2014年に発表されたチェリーニタイム、デイト、デュアルタイム、ムーンフェイズの登場でチェリーニとしては初の自動巻きムーブメント、防水機能が搭載されました。しかし、ドレスウォッチとしてのコンセプトに従い、薄型を維持するために日常生活防水に留まっています。
こうしてチェリーニは唯一オイスターケースを使用しないロレックスとして唯一無二の存在として個性を放っています。
チェリーニの腕時計を日本ロレックス正規サポートにオーバーホールに出す場合、注意しなくてはいけない事は日本ロレックスには部品保有に関しての厳しい規定が設けられており、製造終了から25年間経過した部品はストックされていないため、1995年製造までのモデルに関してはオリジナルパーツが正規サポートに存在しないので、最新型の部品に交換されてしまいます。
このことからオリジナルモデルの価値を下げたくない人や、オリジナルの状態を維持して使用したい人には注意が必要で、そういった際には正規サポート以外のオリジナルパーツのストックを持っていたらデットストックの部品を仕入れられる優秀な腕時計修理専門店のほうが融通が利きますので一つの選択肢として有効でしょう。
料金の問題やヴィンテージのため日本ロレックスに依頼できない方は腕時計修理専門店を利用するのも一つの方法です。では腕時計修理専門店にチェリーニのオーバーホールを依頼したら料金的にはどのくらいになるのでしょうか。
腕時計修理専門店によっても金額に差はありますが、平均相場で行くと手巻き式・クォーツ式共に25,800円~、自動巻き・無垢素材ケースで38,500円~と格安の料金設定になっています。オリジナルパーツのストックがあったり、パーツ起こしを行ってくれるような修理店が見つかれば融通の利くメンテナンスが可能になるので、特にヴィンテージモデルで純正パーツが正規サポートに無いモデルを所有している人にとってはメリットが大きいでしょう。
ただ問題点としてはほとんどの腕時計修理専門店はロレックス専門に修理を行っているわけではないので技術が優秀な修理店に依頼することが大切な要素になってきます。
しかし一見しただけではどこが優秀な修理店かは見分けが付きませんので、有資格者の技能士が在籍している腕時計修理専門店は依頼する基準を見る一つの方法になります。
特に1級腕時計修理技能士に関しては上級資格として登録されているので修理店の信頼度を見分ける第一歩になります。
しかしロレックス専門の技能士ではないので、技能士自身のロレックス修理担当暦やロレックスに関しての知識や経験値が豊富な技能士を選ぶことが大切になってきます。
チェリーニのようなモデルによって構造が多岐にわたり、歴史の古いコレクションをオーバーホールに出すには日本ロレックス正規サポートの依頼するのがベストといえます。
日本ロレックス正規サポートにオーバーホールを依頼するという事は安心と信頼に対価を支払うことですので、高価な料金であっても安心してオーバーホールを依頼することができるでしょう。
しかし予算的に難しかったり、正規サポートにオリジナルパーツがなく部品交換を避けてそのままの価値を維持したい人にとってはオリジナルパーツを持っている腕時計修理専門店のほうが柔軟に対応してくれるケースが多いのでおすすめの方法といえます。
しかしわが国には腕時計修理専門店の数が非常に多く、どの修理店に依頼したらよいのか混乱している人も多いでしょう。
実際の腕時計修理技能士の実力は取得資格だけでは図ることができないのが現実で、技能士の実際の実力を知りたければ実際に店舗に赴いて見積りを取って、要望を直接技能士に話して対話しなくては理解することができません。
直接会話することで実際の実力が初めて解るのでおすすめの方法といえますが、現実的に見て一個人が幾つもの修理専門店を見て廻ることは現実的な方法であはありません。そこでこれから紹介する記事などを読むと腕時計修理専門店の見極めに役立ちますので、興味のある人は是非一度覗いてみてください。
特に記事一番下で紹介しているクラフトワーカーズは複数の時計修理専門会社から優秀な技術者を紹介しており技術者の修理担当暦や取得資格、所属会社まで公開していて本人に直接依頼ができます。
また、誰に依頼するか迷った場合でも複数の技能士に時計を送らずに纏めて見積りを頼むことができ、見積もり金額や納期に納得した技能士にオーバーホールを依頼することでき非常に便利です。
長い歴史を持ちながら現在も現行モデルとして活躍するチェリーニのような精巧な作りの腕時計を、日本ロレックス正規サポート以外の腕時計修理専門店にオーバーホールを依頼する場合には、本当に信頼のおける高い技術を持った修理専門店に依頼するのがおすすめですので、くれぐれも依頼する腕時計修理専門店の選定は注意して行ってください。
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