ロレックスのスペック表を見ているとオイスタースチールと表記されてますよね、これはステンレススチール904Lという素材になります。
904Lはサージカル(外科手術用)スチールと呼ばれ耐食性に強い金属といわれてます。ステンレスのなかでも錆びにくく、スーパーステンレススチールとも呼ばれています。
この904Lを1985年にロレックスが初めて時計のケースに使いました。現在販売されているステンレス製のロレックスのケースはすべてオイスタースチール(SUS904L)が使われています。
日本ロレックスに確認してくれた読者さんがいまして、ベルト部分もSUS904Lのようです。
時計の天敵はサビなので、耐食性に強い素材を使った方が丈夫な時計に仕上がるという事ですね。
また、一般的に時計に使われてるステンレスのなかでも904Lは最もアレルギーの心配がないと言われているステンレスです。
904Lは加工が難しくコストがかかるのでロレックス以外のブランドでは採用されていませんでしたが、近年ジラール・ペルゴやジン、ボールウォッチといったメーカーが使いはじめられています。
耐食性に強い金属を使う事は時計作りとして好ましいので、今後徐々にそれが時計製作の標準材料になるのではないかとも言われてます。
パイロットやダイバーの時計作りを主に行うドイツ時計会社SINN(ジン)の140.ST、756、757、836、900、936等の上級モデルには904Lが使われています。
アメリカで19世紀末に鉄道用の時計として開発した歴史を持つボールウォッチが2019年8月に発売したエンジニアIIIオハイオとパイオニア・パワーリザーブには904Lが使われています。
自社一貫生産する高級時計メーカー(マニュファクリュール)として知られているジラール・ペルゴが2018年にリーリスされたのロレアートクロノグラフモデルには、904Lが使われています。
時計に使われてる素材はステンレス以外にも金や銀、真鍮、プラチナ、チタン、セラミックなどあります。
例えば金と呼ばれる素材でも割り金(金属の配合)により10kや18kになります。
同じようにステンレスでも配合により呼び方や特徴が異なります。
SUS304:安価ではあるが切削性が極端に低い。時計も含め最もよく使用されているステンレスで、世界中で使われているステンレスの約7割がこのSUS304といわれます。
SUS316:SUS304より耐孔食性をさらに向上させたステンレスです。
SUS316F:SUS316Fは、SUS316に硫黄を添加することにより加工性を向上させた材料です。
SUS316L:SUS316LはSUS316よりカーボン量は低く(low)した材料で耐久性がありオメガやゼニス、ブライトリングといった高級時計メーカーで使用されてます。
SUS904L:上であげたスレンレスよりも耐食性に優れるスーパーステンレスです。
このように一口にステンレスといっても色々な種類があります。
ちなみにSUSとはSteel Use Stainlessの略でステンレスを英語で表記した時の頭文字です。
904Lは厳しい腐食条件下での使用が意図されていおり、いわゆるサビには強いですが、 オメガやゼニス、ブライトリングなどが使っている316Lと比較して硬さに大きな違いはありません。
両方ともロックウェル硬さ(HRB)が95未満であり、引っ張り強度も約490MPaと変わらないようです。
外観からはどれも一緒のステンレススチールに見えてもロレックスを始め、腕時計メーカーが素材にこだわっているか、お分かりいただけたかと思います。
時計はデザインに目がいきがちですが、素材のこだわりの部分までみると、それぞれのブランドのモノづくりに対する思いが伝わって来るかと思います。
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