ロレックスが凄いと言われてる理由の一つに開発力があります。長い歴史のなかで全回転式ローターやブルーパラクロムヒゲゼンマイなど独自に開発してきたものは多いです。
この記事では、そんなロレックス社が開発した機構の1つマイクロステラナットの説明をしようと思います。
マイクロステラナットの紹介の前に、フリースプラングについて、お話します。
フリースプラングとは、従来の緩急針による歩度の調整ではなく、テンワそのものによる歩度の調整方法、または機構のことです。
これだけでは、なんのことだか、全然わからないかと思います。
一つ一つお話していきます。
上の写真は機械式時計の調速機構の1つ緩急針です。
緩急針による調整というのは、ヒゲゼンマイの長さを変え、歩度を調整しているものです。
メリットは調整が簡単であること、技術者の経験と知恵により、幅広く調整できることです。
デメリットとしては、衝撃などで、緩急針にヒゲゼンマイが絡んでしまうことがあることや精度が変わってしまうこと、精度が長期的に見て安定しないことがある、などあります。技術者の経験と知恵により、ある程度は防ぐことはできます。
簡潔にいいますと、緩急針による時計の精度は、ヒゲゼンマイにスポットを当てた調整方法です。
それに対し、フリースプラングとは、テンワにスポットを当てたもの、もっと詳しく言えば、テンワの慣性モーメントに注目し、調整をしているものです。緩急針がないこともあります。
メリットは緩急針のように、ヒゲゼンマイの長さの変動を利用していないため、比較的安定していること。
フリースプラングの場合、巻き上げヒゲとの組み合わせが多いです。巻き上げヒゲの収縮とフリースプラングの動きはそれは、美しいものとなりますし、精度も技術者によっては素晴らしいものとなるでしょう。
フリースプラングの種類
フリースプラングは、慣性モーメントによって歩度を調整するもの、そういった機構を備えた時計はロレックスのマイクロステラナット、パテック・フィリップのジャイロマックスなど、テンワの形が特殊なものは、ほとんどフリースプラングと言えます。
今回は中でもマイクロステラナットについて、ご紹介したいと思います。
上の写真はROLEXのフリースプラング、マイクロステラナットです。
マイクロステラナットはロレックスのフリースプラングであり、3100番台に使われています。
写真のようなネジが使われ、より内側にすれば時計はススミ、より外側のテンワに近くすればオクレの歩度に調整できます。簡単な原理としては、アイススケートの選手が、氷上で回転をするとき、胸の前で腕を置くときは速く回転し、手を広げると遅く回転することと同じです。
一般にフリースプラングの調整は難しく、理論をある程度理解した技術者でないと精密な調整はできません。
ロレックス認定資格を持つ技術者のいる修理会社やメーカーに修理をしてもらうのがいいでしょう。
どんな機械式時計にも言えますが、特にフリースプラングの時計、チラネジ付きのテンワではゴルフなどの強い衝撃が瞬間的にかかる動きは避けましょう。一般のスムーステンプよりも、フリースプラングのようなテンワに重りの付いた時計は、時計に与えるダメージが大きい可能性があります。ご注意を。
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